編集員通信


“来年に貴重な教訓を残した”

 4月15日、第3回中山7日目に第2回国際招待中山グランドジャンプが行われた。日本馬だけでやった第1回と異なり、今年はイギリス2頭、アイルランド1頭、フランス2頭、アメリカ、ニュージーランド各1頭の参加をみて、名実共に初めての国際レースとなっている。
  世界の競馬に精通している競馬評論家フェデリコ・天塩氏の「世界ジャンプレースあれこれ」によれば、各国によって障害そのものに相当な違いがあるし、距離もまちまち。馬場状態ひとつとってもイギリス、アイルランドは施行時期の関係でぬかるんでいることが多く、フランスはそれ以上酷い道悪になり易いとか。競走のスタイルが同じでないだけでも比較が難しいのに、輸送時間(15〜20時間プラス、白井到着まで5〜6時間)等も含めた環境の変化への順応性を考えると、勝馬検討はまるで雲を掴むような話。これで馬券を買う人がいるのだろうか?と正直なところ危惧していた。ジャパンCの創設時がそうであったように、いざ蓋を明けてみれば案ずるより生むが易し。マイラーズカップの売上げが52億円だった。対して中山グランドジャンプは25億円。だが前年の同レースに比べれば、これでも5億円アップしている。外国馬招待に関した経費を換算した損益勘定はともかく、結構売れるものだと感心している。
 ところで、レースとしては、2周目3号障害(いけ垣)で、先に落馬転倒したポレールに触れて躓き、騎手が落馬して競走中止したセリベイトを別にした残る6頭の外国馬は、一様に上手な飛越をしている。通常70キロ以上(特に英、愛)は背負わされているのに、63キロで走れるのだし、下も硬目の馬場だから、踏切り、着地は正確さを高めるはずだ。逆に言えば、飛越難度が低く、ジャンプの技巧よりはスピードを要求される日本のレースに対しての戸惑いはあったように受け取れた。外国馬の中で最も若い7歳馬ボカボカと、8歳日本馬ゴーカイの対決となった直線の攻防が、来年からの検討に、ひとつのヒントを与えてくれていたように思うがどうだろう。

編集局長 坂本日出男

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