編集員通信


“土砂降りでも馬場状態は不変?”

 6月25日(日)の阪神競馬場はダート、芝共に良馬場発表でスタートした。雨は降ったり止んだりであったが、かなりの量降っている。
 10R安芸S(ダート1400m)の開始直前はまさに集中豪雨。コース内にある、元のゴルフ場の一部には水溜まりが出来ていたし、ダートコースの砂の色は、水分を含んで黒っぽく変色してきていた。
 走っていても、水飛沫が上がっている。にもかかわらず、馬場状態の表示は依然として“良”のまま。フラットチャットの勝ちタイムは1分23秒0。
 小社は過去のデータによって、馬場の良、重、不良でのクラス毎の推定タイムを計算し表示している。この時の推定タイムは良で、1分24秒0。重不良だと1分23秒0であった。少なくとも、走破時計からは重、不良の範囲内に至っていることを裏付けたと受け取っている。11R宝塚記念も“良”のまま。推定タイムでは“良”で2分12秒0。重、不良で2分14秒0であった。
 ところで、テイエムオペラオーの勝ちタイムはと言うと2分13秒8。最終レースになって、初めてダートは“稍重”へ変更された。芝の方はもうレースもないことだし、変更しても無意味ということでか、“良”のままになっている。因みに最終レースの推定タイムは、良で1分53秒0。重、不良は1分51秒8だった。マンボツイストが現実にマークした時計は1分50秒2であった。
 何しろ相手が天候だけに、どこでどう変わるか分からない。雨の日で、誰が見ても変化の起きていると思われる時、逆に晴天で不良馬場が遂次乾いている時は、1レース単位で状態の調査をして発表するべきだ。競馬場にいるファンなら、自分の目である程度確かめられようが、場外のファンは、その変化を知る術がない。
 「馬券を買って戴いている」という気持ちがあるなら、そのぐらい当たり前のことで、サービス以前の問題だと思う。「売ってやっている」と考えているのなら、こういうことも不思議ではないだろうが……。
 厄介なのは、公式に発表されたものであるから、第三者が勝手に手を加えられないことだ。後々まで記録として残る。あの時は良の発表でも、本当は不良に等しい馬場状態だったと、各自が修正するしかない。記憶にあるうちならともかく、忘れることの多くなる年代になると“後で気がつく……”というケースが増えてくる。
  “坊主憎けりゃ袈裟まで憎い”と言うではないか。こんな些細なことで競馬離れを増長させるようでは、あまりにも情けない。

 

編集局長 坂本日出男

目次へ戻る

(C) 1999 NEC Interchannel,Ltd./ケイバブック