編集員通信


“夏になれば「夏負け」に悩まされ”

 夏期競馬になると必ず出てくるのが「夏負け説」。6月頃からぼちぼちその兆候が見られ始める。今年も宝塚記念当時、ラスカルスズカにそうした症状が見られ始めたと伝わって来ていた。

 「夏負け」とは、夏に起こる症状の総称で、日射病、熱射病を主に、風邪や睡眠不足等が原因の熱発なども含まれている。炎天下に長時間さらされるとか、高温下で激しい運動や高温多湿の中で、しかも換気不良の状態に長く置かれた場合、体内に熱がうっ積する状態になり、これから病気が発生する。汗が全然出なくなり、その他いろいろな機能不全をきたす一種の慢性の熱射病のような病気で、ドライコートと呼ばれているものは東南アジアに比べると、日本での発生は少ない。

 厩舎関係者に聞いた7月のかかりの頃は、例年に比べて今年は少ないという声が多かった。原因は雨天が少なく、睡眠を妨げる蚊の発生が押さえられているという見方から。今年は「夏負け」を気遣わなくてよいだけでも、馬券戦線の方は戦い易くなると喜んだのも束の間。今週、競走馬診療所に尋ねてみると、診療に訪れる馬の総数は少しも例年と変わりないということだった。小倉開幕を機にした頃から急に「夏負け」の馬が増えてきたともつけ加えられていた。

 “能力に与える影響の大きい症状の馬なら使わないで休ませる。出て来る以上は気にせんでエエよ。それより、注意が必要なのは直前輸送のこと”つまり、現地滞在でなく、スポット的参戦で直前入厩し、レースが終わるとトンボ返りするパターン。2度目迄は殆どOKでも、3度目になってくると何らかのマイナスが生じてくると考えた方が良いと、心優しい某調教師のアドバイス。

編集局長 坂本日出男

目次へ戻る

(C) 1999 NEC Interchannel,Ltd./ケイバブック