編集員通信


“フェニックス賞で地方馬台頭?”

 第2回小倉の新馬戦は全部で15鞍。それに第3回小倉の新馬、未勝利戦4鞍を加えても20頭に満たない勝ち馬。全部がここへ回ってくるはずもなく、例年このフェニックス賞は出走頭数が少ない。10頭を超えるのが稀。

 今回11頭も集まったのは、地方競馬からの参戦に負うところ大である。馬柱で、馬名の前についている記号。が神々しくて眩しいぐらい。それ等の他にも父がサラブレッド系の内国産馬であるマル父。家畜取引法に基いて開設された家畜市場において売買されたマル抽以外の馬、マル市。賑やかに肩書きのついている面々が勢揃い。交流レースになる以前は7〜8頭がやっとの状態の出馬だったので、馬券的な妙味は著しく薄いものであった。過去5回にみるフェニックス賞は、地方馬の参戦により少しぐらいは変化の要素を含んでいた。

 しかし、残念ながらいまだ上位3頭の1角を打ち破って台頭して来る地方の剛の者は現れていない。昨年は中央3頭、地方6頭。逃げ乃至2〜3番手マークの馬が勝ち負けの中心に座ってきているのがこのレースの特徴。結果で見る限りでは、地方馬に不足しているのはやはりスピードであった。スプリントと言うべきか短距離を全力疾走する瞬発力で中央馬に後れを取っていた。地方へ入る馬、中央へ入る馬との差は、レースの賞金の格差と関連している。高額馬は自然に中央に集まる。所詮馬は経済動物、馬代の回収すら出来ないでは物事が始まらない。

 走る走らないは金額の高低では決まらないが、高値の馬が働く確率は、安馬より上。最近は血統面で大きい隔りは感じなくなりつつある。地方にも、ダートより芝に適性のありそうな、或いはどちらもこなせる血統の馬が多数入り始めた。過去は過去として、破るに破れなかった上位の中央馬の壁を、今年あたりは突破するものが現れてもよさそうだ。中央馬5頭に挑みかかる地方馬6頭。乗り役はいずれも達者な顔触れだし、スタンドを沸かせる何かが起こりそうだ。

編集局長 坂本日出男

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