編集員通信


“少雨高温で捗らぬ3歳の調教”

 94年以来の少雨、高温。琵琶湖流域の7、8月の降水量は、観測史上最も少なかったそうだ。多方面にわたって被害が出始めていると聞く。

 栗東トレセンでも例外ではなく、調整用の貯水池の水量は少なくなり、馬場への散水も極力必要最小限の範囲にとどめられている。芝は、降水量が多過ぎるために根腐れするより、夏枯れの方がまだましとは言っても、ダートコースはすぐ乾き上がり、馬が走り抜けるしりから砂塵が舞い上がる。厩舎周辺での曳き運動中も、平常より埃の立ち方が酷い。人馬共に健康が気遣われている現況。

 秋の初っ端の開催となる(通常は阪神)新馬戦は、遡って89年ナリタハヤブサ、90年イソノルーブル(中京開催)、91年ミホノブルボン(中京開催)、92年ビワハヤヒデ、マーベラスクラウン等立て続けに大物のデビューを見たが、93年以後になると、少しずつ小粒化してきている印象がある。暑い最中に余計な負担をかけてまで早く仕上げることの是非。将来性、利点と欠点を天秤にかけて、1カ月デビューを遅らせるだけで計画的に育成出来る確率の高さの方を選ばれているようだ。

 特に今年は暑さが厳しい。そのため、未出走3歳馬の調整が捗っていないように思われる。例年この時期になると、大物の予感を抱かせる馬、評判馬が少なくとも3〜4頭は記者連中の口の端にのぼるものなのだが、それがいない。週刊誌の“デビューを待つ有力新馬紹介”に取り上げるべき適当な馬がいないことで、編集担当者は頭を悩ませている。

 もっとも、前評判には上がらなくとも、いざ実戦となるとコロッと変わる。あの馬が?と驚かされるのはしばしばあるケース。決して待ち侘びてないで、それ等勝負に行って大きく化ける馬の出現を楽しみにしたい。

 

編集局長 坂本日出男

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