編集員通信


“名馬の筆頭に選ばれたナリブー”

 JRAが実施した「20世紀の名馬大投票」の集計結果が9月3日に発表された。投票総数55万票弱。さすがにベスト10には1990年代の活躍馬が多数名を連ねている。ナリタブライアンの第1位は、当然そうなるであろうと予測されていた通りだった。シンザンの現役を知る者なら、ためらわずNo.1に推したに違いない。

 年代別でみて、20歳代、30歳代の投票ではベスト10にも入れない35年も前のスーパースターが、総合では堂々7位に選ばれていた。それだけでも大したものだ。競馬ブームの端緒となった1960年のコダマは82位。セントライト以来22年振り2頭目の三冠馬誕生かと耳目を集めたメイズイが、ぎりぎり滑り込みセーフの99位。ファレノプシスやミホシンザンより前へ、1943年の準三冠馬クリフジの名があるのも、小さな驚き。

 小倉の最終週に、場内テレビで結果が発表された。それを見ていた記者席の間でも「CよりもAのランク(ランクじゃあない、人気投票や言うのに聞かん)の方が下というのは解せない」とか、いろいろな意見が飛び交っていた。それぞれが能力判定の基準を身に備えている記者連中だけに、例え、特に問題にしなくてもよさそうなことであっても、職業柄、黙って見過ごすことが出来ないのだろう。その姦しいこと。

 実際のところ、プレーを見たことのない人や馬をランク付けするのは難しいし、何がしかの抵抗感があるだろう。プロ野球でも某テレビ局で「20世紀の名プレイヤー」だったか、そんな文句で選手を選ぶ似たような企画があった。「投手なら金田、外野手なら張本、捕手なら古田でなく野村だろう。それぞれの部門で桁違いの記録を残しているのだから」と言う、ファンとは異ったプロ野球評論家のご意見。選手として直に対戦し、ファンにはとうてい分からない凄さを身をもって知っている人とすれば、低評価?に忿懣やるかたないといった口調。単なる遊びだから、そう目くじらを立てることではない、と割り切ってくれてもよさそうなものだが、記者とか評論家となると“遊び”だけではすまされない部分もあるようだ。

 ところでJRAの場合、投票に協力されたファンへ、記念品のようなものがプレゼントされる案はあるのかないのか問い合わせてみると、初めからなかったそうな。

 

編集局長 坂本日出男

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