編集員通信


“21世紀に向けて目指す方向”

 11月16日、栗東トレセン大会議室で、今原常務理事が中心となったJRAの記者会見が行われた。21世紀に向けて、様々な環境の変化を想定しつつ、どのような方向を目指せばよいのかを考え、現状について改善すべきことは何なのか、例外や聖域を設けることなく見直しを行う。短期的に実行出来得るものは早期に実行に移す。制度から早期には困難なものについては、中長期の課題として実現に向けて努力を重ねて行く「総見直し」を発表した。

 公正で競争性の高い競走関連システム作りということでは、厩舎関連システム、馬主登録、競走馬の生産、育成、流通等について。ファンを長期にわたって引きつける魅力のある競走を提供すると同時にファンの多様なニーズに応える販売システムの構築とファンサービスの充実、事業運営基盤の改善といったこと等を項目を分けての説明会だった。

 JRAにとって、3年連続しての売り上げ減少は予想もせぬことであっただけに受けたダメージは大きい。地方分権化による新課税(横浜で計画されているウインズに対する新税)も、追い討ちをかけるようにJRAを脅かす。

 競馬事業の主役は「1人1人の競馬ファン」であると改めて銘記したわけだ。つまり、より多く、より深く、より長く楽しんでもらうことによって競馬事業は成り立って行くものであると。当然ファンの期待に迅速かつ的確に応えて行く。今迄以上に積極的、より質の高いサービスを提供して行く等「ファンあっての中央競馬」を原点とした基本姿勢で運営することを打ち出している。

 グローバル化が急速に進む状況において、世界の競馬との関わりも一層進展して行こう。「世界の中の日本競馬」という位置付けも認識しつつ、国際的に手を携えて世界の競馬を発展させて行くことが重要となり、相互理解をより深め、可能な限り連携協力して行くことを決めている。これが一歩進めば海外関係者の厩舎への参入、海外居住者の馬主登録も見据えられている。ジョッキーについてもそうなると避けて通れない。競馬の主役は馬と騎手なのだから……。

 高い騎乗技術を持った騎手によるハイレベルなレースをファンに提供して行くために、さらなる競争原理の導入を図る検討の必要性が生じた。外国人騎手及び地方競馬所属騎手の免許のあり方について検討して行く。例えば、安藤勝やペリエ、デムーロが随時参戦出来るようなシステムも、その検討の範疇に入っているはずだ。(続く)

編集局長 坂本日出男

 

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