編集員通信


“日本の競馬らしいレース名を”

 馬の年齢を従来の数え年、つまり生まれた年を1歳とし、以後正月になると1歳を加えて数える年齢表示としていたものを、2001年より諸外国と歩調を合わせて満年齢へと変更した。3歳馬は2歳馬となり、4歳馬は3歳馬と表示される。

 それに伴い変更しなければならないのが特別レース名の中に年齢を示す表現がある場合。「3歳ステークス」は「2歳ステークス」でなければならない。

 そこでいち早くレース名の変更が発表されたのが暮れに行なわれているG1の「阪神3歳牝馬ステークス」と中山の「朝日杯3歳ステークス」だった。阪神の方は「ジュヴェナイルフィリーズ」、朝日杯は「フューチュリティステークス」と命名されている。有名なアメリカのブリーダーズカップに3歳牝馬を対象とした「ジュヴェナイルフィリーズ」があり、そこから引用したものだろう。牡馬、セン馬は「ジュヴェナイル」だが、さすがにそこまでそっくり同名にすることは気が引けたのか……。牝馬の方は活きの良い小娘、牡馬の方は未来とか将来とかいう意味合いがあるそうだ。

 最近とみに外国語のレース名が増えてきているように思う。6回中山の最終週はグッドラックH、ハッピーエンドC、フェアウェルS、ホープフルSと軒並み。阪神の方も季節柄クリスマスキャロルH、サンタクロースS、ベテルギウスS、そして例のカウントダウンSで締括る。星とか宝石とか花木の名前なら、通常の会話の中にも出てくるし、全く知らないわけではないが、いちいち辞書をひもとかなければ理解出来ないようなレース名というのは、愛着も沸かないし、興味も引かぬ。人々の口に上らなくなったら、それこそ競馬離れの端緒にもなりかねず、軽々しく扱われてはならないもののはずだ。

 とりわけG1のような競馬史上に残るようなレースは、字面を見ただけでレースの顔が連想出来るようでなければならない。外国語表記であっても「ジャパンC」は簡潔明瞭「秋華賞」も季節感がありそれぞれのレースの中身が見えてくるようだ。時間がないわけではなかろう。ひとつひとつ吟味して、馴染み易い日本の競馬らしいレース名にして欲しい。

 

編集局長 坂本日出男

目次へ戻る

(C) 1999 NEC Interchannel,Ltd./ケイバブック