“年度代表馬はG3よりG1馬へ”
1月9日、2000年度JRA賞受賞馬及び受賞者が選考委員会において決定された。投票委員296名全員の支持を受け、年度代表馬に決まったのはテイエムオペラオーであり、ファン各位にも異存のないところであろう。 5歳以上牝馬の部門でファレノプシスとファストフレンドの、3歳牡馬部門でのメジロベイリーまたはアグネスタキオンの選択は極めて困難であったように思う。ファレノプシスは3戦1勝(G1)、対してファストフレンドは9戦5勝(G12勝)。結果を見ればダートより芝を重視する風潮のなせる業かとも受け取れる。 複雑だったのは3歳牡馬部門。メジロベイリー、タガノテイオーを捩じ伏せてきていたジャングルポケットが朝日杯3歳ステークスに出走しなかったことに起因する混迷。実質上No.1だったジャングルポケット不在であっては、勝者になってもNo.1だと認められないという意見。しかも、格では下になるG3ラジオたんぱ杯3歳ステークスで、そのジャングルポケットや、クロフネをまるで子供扱いにしレコードを書き換えて2連勝を果たしたアグネスタキオンの出現が輪をかけて投票委員を悩ませた。 メジロベイリーの得票は147票で、全体の50%、アグネスタキオンの方は119票で同40%。数字的には問題なくメジロベイリーに軍配を上げられよう。道理としては、いかに内容が良くとも、3歳戦唯一のG1勝ち馬を差し置いてG3勝ち馬の方を上に扱うわけにはいくまい。該当馬なし8票と、無効票1票は、小異を捨てて大同につくことを潔しとしない記者の投じた苦衷を表した数字に違いない。 昨年ダービーを勝っている長浜師は、その全弟に兄以上の夢を託している。成長途上の期待馬に、与えずもがなの負担はかけたくない。将来を見据え、長期展望に立っての馬造りを推進しているため、敢えてG1に媚を売らず我が道を歩んで行かせた。今回は他馬に花を持たせはしたものの、最後に笑うのは自分だという自負があればこそ。結果として365日後に、2001年度の最優秀3歳牡馬として選ばれた暁には、胸につかえるモヤモヤは雲散霧消することだろう。
編集局長 坂本日出男 |
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