“元気があり余ってます”
ステイゴールドが日経新春杯で昨年の目黒記念に次ぐG2・ 2勝目をものにした。古い言い方をすれば年寄り扱いを受ける8歳馬、体も小さく、一時は410キロを割った時もあった。毎年夏場に3カ月程度の調整休養をとっていた以外故障知らずで年間フル出場している。トータルで43戦もしており、年齢的にみてもこれ以上の能力面の上積みは見込めそうにないと考えられていた矢先の勝利だった。2〜3着だけでも20回もあって、イメージとしては“決め手に欠ける”がこびりついてもいた。 今回はテイエムオペラオーやスペシャルウィーク、グラスワンダー等と比べようもない格下相手であったのは事実ながら、その分、ハンディキャップによって力の均等化を図られている関係から、ある意味では皆同格、といえなくもない。相手に恵まれていたとはいえない。有馬記念で不利を受け、アブミを外して落馬寸前になり不本意な結果に終わったことを悔やんでいた後藤から、アメリカJCCに使う予定があるなら、その時はオーストラリアから帰国しているので是非乗せてほしいとの電話が池江師のところへ届いていた。十分な勝算があるような雰囲気だったから、日経新春杯でもそれ相応の戦いができると踏んでいた池江師も、直線向いたところで1ハロン10秒台の猛烈な二の脚を繰り出してスパートをかけ後続を振り切りにかかったサンエムエックスの、更にその上を行く伸びで抜き去ったことについては“こんな脚を持ってたんか”とただ唖然とするのみ。 1月18日の坂路で颯爽と坂を駆け上がってくるステイゴールドを見た。「年齢をごまかしてるんちゃう。えらい元気やなァ」と池江師に問えば「トシやし、よう走ってくれたんで楽をさせてやろうと思って厩舎の中に入れたままにしてやったところが、元気があり余って暴れまくり羽目板を蹴って穴を開けてしまう始末。壊れた部分を直すのはわけないけど、馬が怪我でもすれば元も子もない。しょうがないから、休ませるのをやめて乗り運動を再開した次第やねん。疲れていれば走る気にもならんわなァ。その気になっているのなら、体を動かせてやるのが最善。ストレスも溜まらんでエエやろし」 これからまだまだ強くなって行く可能性を残しており、今年もG1レースの上位争いを演じてくれるものと期待している池江師。笑いながら最後にひと言「なめたらアカンよ」やて。 編集局長 坂本日出男 |
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