編集員通信


“テンザンセイザの鞍上には誰が”

 京都新聞杯は8番人気のテンザンセイザが完勝した。2勝ながらこれで収得賞金は3100万円となりダービー出走に必要な額を楽々と突破した。が、さて、ダービーでは一体誰が乗るのか?

 1月の京都でデビューした時に手綱を取ったのは四位で、小倉へ遠征した時こそ一旦芹沢の手に委ねているものの、中央へ帰ってくればお約束事のように四位の手許へ返されている。君子蘭賞は、同日に中山で皐月賞が行われており、四位はシャワーパーティー騎乗のために出張中。従って、代役を仰せつかったのが福永だった。四位か福永に乗り馬がいなければ、京都新聞杯はそのどちらかが跨っていた。ところが、四位にはオースミステイヤーがいたし、福永にもダイワアンデスがいて差し合って騎乗できず“さて、誰にしたものか”と藤原英師もしばし思案投げ首。

 テンザンセイザはハミ受けの部分が非常に敏感、繊細な感覚の持ち主で、ハミの当たりが強いと掛かって行ってしまう。そのため、能力は高いのだが思いもよらぬところで力んだり、怒ったりし、脚の使いどころでのロスがしばしばあるため逸機が続いた。これでは駄目だと、四位が段階を踏んで教え込むことで、どうにか我慢ができるようになったし、落ち着きも出て、自分でレースを作って行けるまでになった。物事がいい方向、いい方向へと向かうことによって初勝利を呼び込めたわけ。テンザンセイザの性格や特長を一番よく知っているのが四位であり、ジョッキーの目で見て、乗ってもらえそうな者の中から彼が候補者として白羽の矢を立てたのが幸だった。理由はズバリ“当たりの柔らかさ”。幸なら折り合いをつけて行けるだろう……と。幸も調教師より指名を受けると、早速前任者だった四位と福永のところへ連絡を取り、テンザンセイザの長所、短所、特に気をつけなければならない点についてのアドバイスを求めている。レースに臨んでは兄弟でも他人というこの世界ながら、教えを請われれば包み隠さず話して聞かせる遠い昔からのジョッキー仲間の仁義みたいなものは依然として根強く存在するみたい。ところでダービーだが、幸にはダービーレグノという相棒がいるし、福永にもプレシャスソングがいる。四位にもシャワーパーティーが……。今週あたり決まるはず。条件が整いそうなのは四位で、これが受諾すれば厩舎サイドとすると最善の形でケリがつくのだが……。

編集局長 坂本日出男

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