編集員通信


“ゲートボーイの導入について”

 5月30日トレセン会議室において先の審判業務に関する説明会に次いで、発走業務の説明会が開かれた。5月14日発行の週刊競馬ブックで、井上泰司記者が「一筆啓上」欄において提案していたゲートボーイ導入の件について、あたかもJRA側の考えを表明するような格好になっていた。ごく近いところで、ダービー卿CTでのシンボリインディ号の事故死の誘因として、ゲート入りの際の補助作業がマスコミに取り上げられていたし、実際にテレビ放映されたその時の状況をつぶさに目のあたりにしたファンの方からのご意見も、数多く小社へ寄せられている。

 発走担当の清水委員は、昨年の6月にアメリカへ渡り、ハリウッドパーク、ベルモントパークにて発走業務を視察してきた。特に、ゲートボーイの導入に関しては最重点を置かれていた模様。ゲートボーイを現地ではアシスタントスターターと呼んでおり、その業務は発走に関連する専門的なものだけといえ、発走合図(レースにおける)以外のすべてであり、発走試験や、発馬機器の保守までもが含まれているというのだから広汎にわたっている。暴れる馬をパワーだけで屈服させるのには限界があり、最終的には技術によって服従させるわけだが、それを修得するのは一朝一夕でいかぬし、発馬機も大幅に改良されねばならない。人と物に加え、必然的に派生する費用を考慮すれば、売上げ減少で緊縮財政に取り組んでいるJRAの現況では、やるにやれないといっているよう。聞きようによってはそう受け取れる説明だった。

 唯一点、どうも納得できなかったのは技術に関することで、狩猟民族と農耕民族の違いを喩えにとり、カウボーイの時代から馬の扱いに慣れているから上手で、そうでないから問題のような説明は合点いかぬ。農耕民族であっても教育によっては対等にやれる類のもので、馬を御す技術は後天的な部分に属すると思う。現に武豊や蛯名が寸分のヒケも取らず世界の檜舞台で主役を演じきっている。体力も劣る日本人では無理だから、ゲートボーイの導入は難しいとはいえないだろう。幼時からやってきている者に比べれば多少の違いはあっても決定的な違いとはならないはず。先進国(競馬)のいいモノを取り入れるのに何を憚かる必要があろう。機器と人材だけの問題ならすぐにでも取りかかれそう。他に、先立つモノの話なら、懐勘定があって余人の口出ししにくいところだが、できるだけ火急に善処を望みたい。

編集局長 坂本日出男

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