編集員通信


“競馬場で挙式しませんか”

 JRAの上部よりの指令ではなく、場独自の裁量によって打ち出される企画ということで、特に毎年その異色ぶりが話題になっている(一部の?)小倉競馬場では今年は、小倉競馬場開設70周年を記念して7月22日(第3回小倉サマージャンプ当日)競馬場内で結婚式を行いたいカップルを募集している。応募要領は、ご両人の写真と、競馬への想い、競馬場で挙式したい理由等を作文にして、6月15日までにJRA小倉競馬場総務課宛に送ればいい。ただ、希望者全員というわけにいかず、作文の内容を吟味、審査の上で決定された1組様限定ということになっている。

 式は、芝保護のために芝コース内へ入れないことから、ウイナーズサークル内において行われることになる。テレビのレース実況でお馴染みの杉本清氏が司会、進行役を務められ「人前結婚式」の形式で執り行われる。ゲストとして、当日レースに騎乗のため小倉競馬場入りしているトップジョッキーの参列も予定されている。儀式のひとつである、新郎新婦を乗せた馬車での行進は、コースに入れないために走行可能な敷地部分を使用して運行、その模様はターフビジョンに映し出されて入場者の皆さんに披露される。恒例の記念撮影には勿論のこと都合のつくジョッキーがこぞって加わり晴れの門出を祝福する段取り。希望によっては、記念写真に参加したジョッキーのサインを添えて戴くことも考慮中だとか。

 野球場やサッカーの球技場、あるいはアミューズメントパーク等における形にとらわれない自由発想の結婚式が相次いで生まれてきている昨今。競馬ファンにとっては楽しい企画だといえるのかも知れない。もっとも、列席される親族の方とすれば、その年輩から感覚的な世代間のギャップがあって、ギャンブル場で……と難色を示される方も依然少なくなかろう。まして、何万人もの衆人環視の中、かなり面映ゆい思いもされるだろうし、本人よりも周囲を説得するのが大変だろう。98年(平成10年)に阪神競馬場において前例があり、その時は好評だったそうだから、是非いい思い出を作り、末永く幸せな家庭を築いていただきたいものだ。老婆心でひと言つけ加えれば、一生に一度(普通は)のこと、今日聞いて明日答えるというわけにいかぬ種類のもの。1年ぐらい前から募集予告を出された方がよろしいのではないかと。

編集局長 坂本日出男

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