編集員通信


“南井ジュニア只今奮闘中”

 ついこの間13人の同期生と共に競馬学校への入校が決まったばかりのような気がしているのに、早いものでもう最終学年になっている。月日は百代の過客、あっと言う間に通り過ぎて行く。自分の物忘れの激しさは棚に上げといて……。

 南井克巳調教師の長男大志君は、目下栗東トレセンの橋田厩舎において実務の研修に励んでいる。現代っ子らしい容貌、体型。一時代を画した加賀武見、福永洋一タイプは少なくなってきて、当世風の主流は長身、足長でスマートな武兄弟タイプ。それに属する。

 他厩舎所属だし、自立心を重んじる方針の父は、一切直接の技術指導をしていない。自らが学校で学んだことを土台にして、実地訓練で騎乗フォームを固め、技巧の錬達を図っているようだ。実戦と調教はまったく別のものだから、騎手として父親の域に達するかどうかは現時点ではまるで見当がつかない。が、調教のみから受ける印象は、センスの良さが目を引く。

 一般的に、坂路のラスト1ハロンは長目(半哩)から行っていると苦しがり、まっすぐには走れないのが大半。それを、しばしば横ブレさせないで持ってくるようになっている。体重が軽いから、馬へかかる負担が小さい点を差し引いても上首尾。

 27日(水)は、ラジオたんぱ賞に出走予定のアドマイヤロードの追い切りを任されていた。デビュー前の4月15日に1度跨っていたものの、過去3戦の本追い切りはすべて助手が乗っていた。6月になって全面的に任されるようになり、20日に続いて追い切りの手綱をとっている。調教師が乗り手としてある程度認めた証に他ならない。

 これまでアドマイヤコジーン(5歳オープン)コマンドスズカ(6歳1600万)ターファンスズカ(6歳900万)の追い切りを担当してきたし、アドマイヤセレクト(3歳500万)では、何度かアドマイヤボスの併走相手を務めている。G1クラスの馬と接する機会が多いことは、競走馬を知る意味では貴い経験になる。これまでの2年半でいろいろ悩み、苦しんだことがあったと聞く。ここまできたからにはジョッキー目指し一路邁進するしかあるまい。来年2月中旬の新規騎手合格者の中に、南井大志の名を見つけることを楽しみにしている。がんばりや大志。

編集局長 坂本日出男

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