編集員通信


“南井師が誘導馬に乗る”

 京都競馬場の総務課が、菊花賞当日に、昨今とみに競馬場離れの進行しているファンをここらで足止めしたいし、呼び戻したいということで考えついたイベントが、かつてナリタブライアンを駆り三冠制覇の偉業を達成、多くのファンの胸を熱くさせた南井調教師を担ぎ出して、菊花賞当日に誘導馬へ乗って先導役を務めてもらう企画を立てた。依頼を受けた南井師も趣旨に賛同、二ツ返事で受諾している。

 南井師と菊花賞のゆかりは今更説明するまでもないだろうが、ナリタブライアンの他に89年バンブービギン、97年マチカネフクキタルによる都合3勝。これは武邦彦、武豊父子、及び岡部と並ぶ菊花賞の最多勝ジョッキーに名を連ねている。三冠成就で異常に盛り上がり興奮と熱狂のるつぼと化した当時の雰囲気を知っている人には懐かしんでいただけようし、知らない人には、ぜひそれらしい体験をしていただければ、との関係者の願いがこのプランを実現させた。10月21日当日は、第6レースと菊花賞の2度登場する手はずになっている。パドックから地下道を通って本馬場入場、正面スタンド前で各馬離散を見届けるまでの介添役を果たす。正規の服装である燕尾服での騎乗予定だが、英国風チェック柄の服にハンチング帽という出立ちも案としてあるとか。

 菊花賞直前は時間の面での制約がキツく、凝った趣向を御披露目できそうにないため、その分は、例えばターフビジョンを使って南井騎手のメモリアルビデオシーンを紹介するなど、第6レースの前でたっぷり時間を取ってお見せする段取りになっている。先導役については、国体の馬術競技に出場経験のある歌手の華原朋美さんを起用する話もあったものの、先方のスケジュールの都合上、見送られたそうだ。南井師の評判いかんでは今後もこの種のイベント(元騎手とかタレント等起用の)を継続してみたいと総務課の話。さしずめオークスでの嶋田功師など、はまり役だろうが……。場が違うから。

編集局長 坂本日出男

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