編集員通信


“共同会見に白井師を出したかった”

 予想外の大量降雨、予測されていた逃げ馬の出遅れによる展開の異変等が重なって波乱を招いた天皇賞。既に結果が出ているだけに書くのをためらわれた今回の編集通信。実はこんな裏話がおましたんや。

 栗東トレセン調教スタンド3階の記者室には、中央部に誰の目にも入る大きな黒板がドッカと据えられている。そこに“本日の共同会見”という見出しでインタビューの予定されている調教師あるいは騎手名が書き出されている。10月24日(水)、25日(木)は天皇賞出走予定関係者で、24日にテイエムオペラオーの岩元師と和田騎手、ステイゴールドの池江師、メイショウドトウの安田伊師と安田康騎手。25日はイブキガバメントとロサードの2頭出しを予定している橋口師。

 氏名の横には出席の予定される時間が書き添えられており、それを目安にあちこち取材で飛び回っている記者が出先から戻ってくる。この掲示板を見た時、ちょうど傍に居たのが白井師。「寿(とっ)ちゃん、あんたの名前があれへんやないの、お呼びやなかったわけ?」ニヤニヤしながらこう言った。「そうやねん。俺の席はあっちやなくてココ」だと。この会見でのアナウンサーと関係者のやり取りは、各新聞社の紙面を飾ると同時に、テレビ、ラジオそして当日には場内のターフビジョンを通じてファンに対し広く放映、伝達される。テイエムオペラオー、ステイゴールド、メイショウドトウの3強に衆目が集まるのは当然なのだが、それを負かせる可能性ということを元にして考えれば、マイルチャンピオンシップをレコード勝ちしてスピード面の裏づけがあり、ここ2走地方競馬交流競走で連勝、スタミナ強化も証明されているアグネスデジタルこそ、ファンが最も関心を抱く存在ではなかったか。文字、活字で見るより、生の声で実情を知りたいのでは……。

 「当初の予定がマイルチャンピオンシップであったのを、急きょ天皇賞へ方向転換した。何でや?というファンに対しても、説明するいい機会ではあったんだが、呼ばれもしないのにしゃしゃり出るわけにはいかんがなァ、坂本さん」「そらそや」。出席者の件について、部外者がとやかく差し出口するのは慎まなければならない。ファンサービスが基本だけに、ファンの求めている人選についてひと工夫あっても良さそうに感じた。が、もの申すにはタイミングが悪かったな、やっぱり。

編集局長 坂本日出男

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