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競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
107日の競走生活






 

◆“107日の競走生活”

 22日付けでレディブロンド(牝5歳・藤沢和雄厩舎)が登録を抹消された。つい昨日まで元気に活躍していた馬が突然引退する―消長の激しい競走馬の世界では決して珍しいことではないが、あのレディブロンドが正式に登録を抹消したと聞いたときには言葉で表現できない複雑な気持ちになった。

 スプリンターズSが行われた翌週、弊社iモードで“レディブロンド引退。繁殖入り”の記事を掲載した。まだ他の競馬マスコミが一切取り上げていない時期だけに戸惑いはあったが、調教師の発表と知って記事にすべきかどうか迷うiモード担当者にGOサインを出したのは私だった。その数十分後に(株)ロードホースクラブの和田さんから電話が入った。オーナーサイドはまだ正式に登録抹消を決定しておらず、記事を削除してくれという要請だった。詳しい事情説明を聞き、まだ具体的な抹消予定がないと知って、iモードの記事は削除した。事実関係が正確に把握できたことに加え、限りない能力を秘めた馬だからこそ、最後の最後まで可能性を残しておきたいという関係者の気持ちが痛いほど伝わってきたから。

 レディブロンドは「もともと脚部に不安があってデビューが遅れた馬」(藤沢和雄調教師)で、初出走が5歳の6月という異色の存在だった。乗り運動すらできない時期があったというのだから、競走馬としてデビューするまでの道程は想像を絶する厳しさがあったことだろう。それでも、なんとか出走にこぎつけ、初出走でいきなり格上の1000万特別に挑戦。そこから無傷の5連勝を達成して一気に頂点まで昇り詰めたのだから常識破りである。初出走から僅か107日にして古馬G1に挑み、そのスプリンターズSで僅か0秒2差4着と健闘。このレースでレディブロンドは“短距離界の次代を担う馬”として認知されたばかりだった。

 正式な抹消届けが提出された日、ロードホースクラブの和田さんから丁重な経過報告の電話を頂き、改めて弊社iモードで引退記事を掲載した。僅か107日の短い競走生活を終えたレディブロンドが、数年後に母として注目される日がくることを楽しみにしつつ、今回は物言わぬサラブレッドに関する報道の難しさについていろいろ考えさせられた。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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