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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
競馬と興行






 

◆“競馬と興行”

 ジャパンカップ当日の東京競馬場。第9レースのキャピタルSにトゥスールが出走してきた。1週前に京都競馬場で行われたマイルチャンピオンシップで16着に敗れたイギリスの馬だ。「マイルCSの結果に納得できない」としての連闘策で、それ自体は歓迎なのだが、問題は1週間前にJRAから発表されたキャピタルSの登録馬の中にこの馬の名前が含まれていなかったという点である。

 競馬に詳しい方ならご存知と思うが、特別レースに出走の意志がある馬は、1週前の特別登録(レースの種類によっては2週前という場合もある)が必要。この前登録をせぬ限り希望のレースには出走できない。過去には関係者のミスで前登録を忘れ、G1レースに出走できず涙を飲んだ馬も少なくはない。最終登録に間に合わなかった場合は、後日にいくら大金を積んだとしても出走は叶わない。それがルールなのだから。

 弊社週刊ケイバブックは勿論、月曜日に週末の特別レースの登録馬名を掲載するスポーツ新聞でも、キャピタルS登録馬にトゥスールの馬名がなかった。なのに週の半ばになって、『トゥスール号、キャピタルSに出走!』の記事がスポーツ紙に掲載された。JRA広報室に問い合わせると、同馬は国際指定競走のマイルCSとキャピタルSの双方に予備登録を済ませていたとか。ならば、1週前の登録馬発表の際に何故馬名がなかったのか。「マイルCS終了後に口頭で確認を取ったところ、連闘の意志なしの返答。それで登録馬に加えなかった」が広報室の説明だが、これが事実だとしたらその判断を責めたい。「JRAも、相手が外国馬やったらなんでもOKやねんな」と私に電話してきた数人の競馬ファン。彼らの気持ちは不信感に満ちていたが、当然の感想だろう。

 今年の夏、ハンデ戦の小倉記念にエイシンプレストンが1週前登録した。G1馬が出走してくれば、興行的にも馬券作戦上でもおおいに盛り上がるのは間違いない。しかし、実績断然のこの馬がハンデ戦に出走した場合、ハンデは61キロ前後の酷量になる。登録だけにとどめるだろうと私は考えた。しかし、月曜日にJRAが発表したこの馬のハンデは59.5キロ。常識では考えられないハンデだった。結果としてエイシンプレストンは小倉記念に出走しなかったが、そのハンデが決まった背景には興行面を最優先する姿勢が感じ取れて、後味が悪かった。

 “ギャンブル派”、“血統派”、“データ派”、“ロマン派”と様々な競馬ファンがいて、それぞれの人間が好きなスタンスを取ればいいと思っている。しかし、スポーツの基本でもある公正さが保たれなければ、競馬そのものが単なるショーになり下がる危険性は十分にある。JRAが本気でそんな方向へ進もうとしているとは思ってないが、あれこれ考えさせられるこの1週間だった。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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