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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
ローズボー号の失格について






 

◆“ローズボー号の失格について”

  1月17日、土曜日。早朝から携帯電話が再三ブルブル。前日から粉雪が舞っていたので嫌な予感はしていたが、「小倉が1レースの開始を1時間遅らせた」「京都は除雪作業に手間取って、芝の5レースを距離変更」といった連絡が現場から次々と飛び込んでくる。夏は台風に悩まされ、冬は降雪に振り回される競馬開催。例年のこととはいえ、朝からバタついた。

 小倉、京都ともに1時間遅れのスタートとなったが、無事に開催が決定。まずはひと安心したが、その影響でどちらも昼休みはカットされ、息つく間もないままにレースが進められた。最終12レースは長い審議となり、その結果、「第1位に入線したローズボー号は、発走後まもなく内側に斜行。ファルコンシチー号(落馬)の走行を妨害したため失格といたします」との場内アナウンスが流れた。

 しばらくして放映されたパトロールビデオを見ると、ローズボーが「発走後まもなく内側に斜行」しているのは確認できたが、楕円形コースでの競走で、外枠の馬がある程度、内に切れ込む行為は許容範囲。内に寄せて行ったがために他馬がアオリを食ったのなら審議の結果にも納得する。しかし、ビデオを見る限りでは、ローズボーがジワッと内目に切れ込み、そこからはまっすぐ走っている。その内側にいた馬たちにしても、接触されたり寄られてバランスを崩したりしている様子はない。

 それでは何故、失格になったのか。裁決委員のそのあたりの判断が分からない。ローズボーが馬群の前に入って、まっすぐ進路を取ってから約2秒が経過し、直後にいたファルコンシチーがローズボーに触れてバランスを崩した。それが落馬の原因のように私の目には映った。強引に他馬の前に入ったのでもなければ、前でフラついたわけでもない。少なくとも「発走後まもなく内側に斜行」したことが後続馬の落馬には結びついていないのだ。気の毒ないい方になるかも知れないが、私には落馬した側の騎乗に問題があったのではないかとさえ思えた。

 当日、このレースのインタビューを担当した記者に聞くと、パトロールビデオを見た後の騎手たちの間では「あれで失格は可哀想やで」「むしろ落ちた側の技術の問題ちゃうか」との意見が圧倒的だったとか。勿論、事故は起こって欲しくないし、ラフプレーなどは問題外。公正さが競馬の基本だが、全馬がセパレートコースを綺麗に走っていてはレースにならないのも事実。だからこそ、きちんと審議を尽くして納得できる判断をして欲しいのである。こんなことが繰り返されると、フルゲートのレースなどでは安心して馬券を買えなくなってしまう。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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