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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
裁決内容の変更






 

◆“裁決内容の変更”

  2005年1月1日付けで開催日の裁決内容の一部が変更されるとJRAから発表があった。12月8日に栗東トレセンの事務室で審判部による説明会があると聞き、ダブル開催中で人手が足りないことに加えて、個人的に強い関心のある裁決部門の問題だったことも手伝って、久々にその説明会に顔を出した。競馬専門紙、日刊紙等の記者20名ほどが集まったなかで、下記のような説明がなされた。

1.騎手の進路の取り方に対する制裁基準の改定について
(1)走行妨害に関する制裁基準の改定
(2)過怠金適用額の改定(増額)
(3)進路の取り方について現行(99年に変更)の過怠金10万円に該当する違反行為(走行妨害にはいたらないが危険、悪質な騎乗)に対して騎乗停止2日を科す
2.着順確定時における「騎手の整列」の廃止
3.パトロールビデオ公開枠の拡大

  すべてを詳細に説明していくと際限がなく、また、こういった文章が延々と続くと頭痛がしてくる私のような読者の方もいらっしゃると思うので要約すると、まずは騎手に対する制裁を事例に応じて細分化して、危険・悪質なものについてはペナルティーを強化する。また、30年間改定していなかった過怠金の金額を引き上げるというのが1の項目の趣旨である。2、3の項目についてはこれだけで理解していただけると思うので必要以上の説明は省く。

  さて、今回のJRA審判部が行った説明会についてだが、裁決内容の変更については概ね賛成である。騎手に対する制裁がより正確できめの細かいものでなくてはいけないというのは当然である。過怠金の金額を時代に合ったものにするのもごく自然なこと。また、「騎手の整列」の廃止というのも納得だった。これは騎手の作業を簡略化することでパドックでの騎乗の環境作りをするというのが主旨のようだが、それとは別に、パドックで「止まあ〜れ〜」という号令がかかったり、検量室で「確定」という声とともに全騎手が整列するのは、どうもミリタリズムの匂いがして嫌だった。

  「パトロールビデオ公開枠の拡大」については「ファンサービスの観点から、平地のG2、G3の競走についても、現在のG1同様に当日の夕刻にITVで放映することとします。なお、当該映像は当日の夜(概ね19時)からJRAホームページでも閲覧可能となります」とあった。ここで思うのは、せっかくパトロールビデオ公開枠を拡大するなら、何故その週の全レースを放映しないのかということ。レースの全貌を見渡せるパトロールビデオは単にすべての馬の走りが確認できるだけでなく、それぞれの騎手の動き(瞬時の判断、対応)まで観察できる。競馬ファンにとっては必見の映像でもある。馬券を握り締めて1頭の馬を応援していて、何故審議ランプがつかないのか疑問を抱いた経験は誰にでもあるはずだから。

  説明会の最後に質疑応答があり「各騎手の制裁状況(制裁点数)の公開を」と申し入れたが「騎手個人にとってマイナスのイメージにしかならないので基本的には公開しません」というのが審判部の返答。他にも二、三、質問をしてみたが、それに対する返答は、いかにもお役所仕事といった型通りのものが多かった。詳細を再現して個人的な感想まで加えるとこのコラム数週分になりそうなので断念するが、機会があれば改めて裁決(審判部)の問題を取り上げたいと思っている


競馬ブック編集局員 村上和巳


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