編集員通信


〈 ところで皆さん 〉

 先日、JRAから新種馬券「拡大馬連」の導入(平成12年から本格的に開始予定)決定が発表されました。一番のキャッチフレーズは、「馬連の面白さを失わず、また的中しやすい馬券であることから、競馬初心者も購入しやすい」です。出走馬から2頭の馬を1組としたものを選び、その2頭が3着までに入線すれば的中というのですから、確かに、的中確率は高くなりますし、確かに、初心者向きと言えるでしょう。

もっとも、この新馬券、賛否両論があるようです。反対論者は、配当が安くなるという点に不満があるようです。しかし、馬券は当たってナンボ。大儲けを目論んで、結果はゼロ。馬連は配当的な魅力は大きくても、これがあるんです。私、最近、賢くなりまして、自分の買いたい馬と同じ枠に人気馬がいる場合は、馬連と枠連を買います。馬連が当たれば、必然的に枠連も当たります。高配当に、プラスアルファまであるわけです。もし、狙った馬が来なくても、人気馬が連に絡んで、枠連的中で助かり。こんなケースがけっこうあるんです。それでも、これまで、1着−3着、2着−3着で泣かされたことがどれだけあったことか。「拡大馬連」なら、それがなくなるんです。

最近、もっとも悔しい思いをしたのが鳴尾記念なんです。私が狙った馬はサンライズフラッグ。自分で言うのも何ですが、見事な狙いでした。軸はこれ。問題は相手です。もともとが本命ギライ。このレース、断然の1番人気はエアグルーヴ(単勝1.3倍)。私が買った時のサンライズとの馬連配当が980円(最終的には1080円)。こんな安い配当、買う気もしませんでした(本当は不良馬場でエアグルーヴは危ないと思ったのですが)。そして、買った馬券が、サンライズとアヌスミラビリス。サンライズとテイエムオオアラシ。1着サンライズ、2着エア、3着アヌス。見事な1着、3着でした。これが「拡大馬連」なら、76.4倍の3分の1。約25.4倍の配当を手にできていたのです。

〈ところで皆さん〉。皆さんも今年のGIだけでも、調べ直してください。もうちょっと早く、この馬券があったらなあと、ジダンダを踏むレースがいっぱいある筈です。ということは、この新馬券が発売されれば、私は、ほとんどのレースが取れる筈です。「ヒョッとしたら、馬券で食っていけるのでは」。そんな気になって、実例を示して横の席にいるTMの山田理子に同意を求めました。ところが……。「だって、井戸本さん。今まで、単勝を買ったら2着だし、複勝を買ったら4着ばっかしでしょう。その馬券だったら、1、4着か、2、4着だと思いますよ、きっと」。この言葉を聞いて、ハッと我にかえりました。人生、そんなものかも知れませんねえ……。

(競馬ブック関西・デスク・井戸本征彦)

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