編集員通信


〈 ところで皆さん 〉

 武幸四郎騎手に笑顔が戻ってきました。11月14日の第9Rの京都3歳Sをオースミブライトで勝ち、最終の第12Rはブロードアピールで。翌15日は第4Rの新馬戦をビッグバリーで快勝しました。以前の武幸騎手なら、別に驚くほどの成績でもありません。

 が、彼、本当に長期に亘って、スランプに陥っていたんです。8月15日京都の第6Rの新馬をクラシックステージで勝って以来、11月1日の京都競馬第1Rの未勝利戦をマルブツオペラで勝つまで、実に64戦、勝利どころか、一度の連絡みさえなかったんです。その間、8月16日京都の小倉記念でレース前に落馬負傷し、約1カ月騎乗できないという不運もありましたが、64回騎乗して連対もできない時の心境は察しても余りあるものがあります。

 ほんの少し前、某スポーツ紙に掲載されていた彼のコラムがなくなりました。“何故、僕がこのコラムを休むかは、皆さんがよくお分かりだと思います”。確か、こんな感じの最終回だったと思います。連対もできない騎手の騎乗馬について、どうこう言っても仕方ない。これが彼の正直な気持ちだったに違いありません。断腸の思いだったでしょう。

 若い頃、アメリカで天才騎手と言われたスティーブ・コーゼン騎手が、一度、157戦連続して勝てなくて話題になったことがあります。それに比べれば、64戦ぐらい、という気もしますが、それまでが順風満帆の騎手生活を送ってきた彼には耐えられない苦痛だったと思います。

 でも、もう大丈夫です。オースミブライトも、ブロードアピールも、自信にあふれた騎乗でした。今週は、デビュー14戦目、初勝利を重賞で飾るという快記録となったオースミタイクーンでGIのマイルCSに臨みます。皆さんも、甦った「武幸四郎」を応援してやってください。

〈ところで皆さん〉。応援と言えば、私ひとりがイレ込んでいるテンザンストームが11月8日の京都競馬に出走。ゴール寸前でハナ差交わされたものの、2着と健闘してくれました。この欄で、次は復帰緒戦で負けた額の倍の馬券を買うと書きましたが、その通りに実行しました。いくら買ったかは秘密ですが、回収金額は、複勝15000円、馬連30000円。計45000円でした。前の負けは完全に取り返しました。次に出てきた時は、プラス分を全部単勝にブチ込みます。結果はその時に。

(競馬ブック関西デスク・井戸本征彦)

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