編集員通信


〈 ところで皆さん 〉

 先日、あるファンから、「タイキシャトルは何故、有馬記念に出ないのか」という投書がありました。スプリンターズSに出れば、勝つのは最初から分かっている。海外のGIを制したほどの馬が、秋に日本のGIのマイルチャンピオンシップを勝ったあと、スプリンターズSに駒を進めて、これを勝っても何の意味があるのか。ファンはタイキシャトルが有馬記念に出て、セイウンスカイや、エアグルーヴと闘って、どれほど強いのか見せて欲しい。大体の要旨はこんなところでした。

 競走馬には血統、体形等からくる距離適性というものがあります。タイキシャトルは短距離向きと判断されてマイル以下の距離を使われてきました。そして、パーフェクトといっていい成績を残しているのですから、周囲でゴチャゴチャ言うことはないでしょう。ただ、タイキシャトルは一度も1700m以上の距離を走ったことがありません。ヒョッとしたら、中距離でも短距離と同じように強いという可能性もあります。「タイキシャトルよ、有馬記念に出てくれ」、この一ファンの叫びに賛同するのは私ひとりではないと思うのですが、いかがでしょうか。

 〈ところで皆さん〉。先程の投書者が、「勝つのは分かっている」というスプリンターズSでのタイキシャトル。このレースが、もしハンデ戦なら、タイキシャトルはどれぐらいのハンデになるのでしょうか。タイキシャトルは、古馬との初対戦となったGIIのスワンSを55kgで勝ちました。以降、97年のマイルCS(GI、斤量55kg)、スプリンターズS(GI、55kg)、98年になって、京王杯SC(GII、58kg)、安田記念(GI、58kg)、フランスのジャックルマロワ賞(GI、59kg)、そして、今秋のマイルCS(GI、57kg)と連勝を続けています。

 ハンデ戦の場合、重賞をひとつ勝てば1kg、GIなら2kgの増量が普通です。ちょっと単純すぎる計算ですが、55kgでスワンSを勝った後、GI5勝、GII1勝なら、プラス11kgということになります。それに連勝すると1kg増量されるケースが多いのもまた普通です。古馬と対戦し始めてから、タイキシャトル7連勝中です。これで7kg。(55+11+7=73)、驚くなかれ、タイキシャトルの現時点でのハンデは73kgということになります(あくまでも私の独断で単純な計算ですが)。そんな馬がスプリンターズSには馬齢の57kgで出走できるんですから、「勝つのは分かっている」と言っても、言い過ぎではなさそうです。

 念押しといっては何ですが、他の有力馬のハンデはというと、エイシンガイモン57kg。エイシンバーリン57kg。シンコウフォレスト59kg。シーキングザパール57kg。マサラッキ58kg。ワシントンカラー58kg。といったところでしょうか。タイキシャトルの73kgは極端すぎるにしても、他馬と比較すれば、力の開きがどれほどのものかは一目瞭然です。そして、タイキ以外の馬で斤量有利と言えるのは背負わされるであろうハンデより2kg少ない斤量で出走できるシーキングザパール、シンコウフォレスト、1kg少ないマサラッキ、ワシントンカラーの4頭。タイキの相手には、この中から、追い切りの動き、厩舎の話を検討して、デキの良さそうな馬を選んでください。

(競馬ブック関西デスク・井戸本征彦)


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