編集員通信


〈追い日の積雪は大敵〉


 昨今は地球温暖化現象のせいなのかどうか、栗東も降雪が少なくなった。それでも2月4日のように積雪15ということがたまにある。
 競走馬にとって、この雪ほど扱い難いものはない。雨にも風にも負けはしないが、雪に積もられるとお手上げ。

 北海道の牧場では膝まで埋もれても平気で歩いている。遊んでいる分ならそれでも構わないが、トレーニングをする舞台ではそれだと困る。中途半端な積雪だと、蹄の底のお椀状になっている部分に雪が入り込み、雪道を下駄を履いて歩いた経験のある人なら説明せずともご理解頂けよう。どんどん積み重なって高くなり、捻挫に直結する不安定な状態での歩行になる。

 午前7時の調教開始以前に、ウオーミングアップをすませて追い切りの態勢作りをしなければならないのだが、前日から天気予報を利して、夜を徹しての凍結防止ハローがけ(歯鉄で砂を掘り起こす作業。ウッドコースは出来ないので閉鎖)を行っているコースは何とか保守出来ても、厩舎周辺までは手が回らず、運動が出来なくて、10時頃から開始する“午後乗り”に変更される。厩舎から馬場へ辿り着くのさえままならないので、馬場乗りは勿論のこと、曳き運動さえも回避する厩舎は少なくない。通常、追い切りが出来ないとレースには使わない。

 今週のように、追い切りは滞りなく終了した午前11時頃より本格的に降り出すものなら、調整への影響が皆無とは言えないが、殆どないので安堵させられる。1日ぐらいのことなら、運動を中止しても支障ないものの、中には例外もあり、走ってみないとそれが分からないから厄介。

 自然には逆らえない。出来ることなら、積もるような雪はご勘弁願いたい。特に水、木曜日はこたえる。誠に身勝手な競馬人のお願いでした。

編集局長 坂本日出男

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