さすがに全盛時の勢いは見られず、京都記念で２着したもののマイラーズＣでは後方のまま末脚不発に終わっている。良くなって来ているようでも、相手や、距離、馬場状態等によっては一様でない結果が出ている。二分師は「３カ月休めば、元の状態に戻るまで３カ月間が必要。１年休んだフクキタルが完調化に達するのはこの秋になろう。事を急がず、そのあたりを基準にして、じっくり立て直しに取り組むつもりだ。馬は使いながらになる。秋と言わず、宝塚記念あたりを勝ってくれるなら、それはそれで万々歳、非常に喜ばしいことだが……」
　特に裂蹄は時間がかかる。根本的には、新しい爪が伸びて生え変わるのを待つしかない。それを助長する食餌療法で与える大豆により、脂肪のつき過ぎるのが難。爪は治ったものの、次は脂肪を除去するのに何カ月かを費やされる羽目になる。外見では、満点の仕上がりのようであっても、内臓を取り巻いている周辺では、まだ走りに影響する負荷がかかっている。１回や２回使った程度では、それが足を引っ張るために、着順は上向く一方とはならない。稽古だけで体を造る難しさは、そうしたこと等があるから。

　　“熱発”と言うのもよく厩舎関係者のコメントの中に出てくる。これは季節に関係なくあって「熱発したので調教を１日休ませた……」と言うあれ。平熱が何度なのか予備知識なくして聞くと、大変な判断ミスを犯しかねない。
　「１日休めば１週間の猶予が必要」休ませれば、筋肉のみならず心肺も楽をする。絶えず筋力に緊張をもたらしていないと、一旦緩んでしまうと元に戻すのに倍以上の日数がかかるという意味。とくに、走る馬（オープン馬）級になると、つい大事をとって可愛がり過ぎ、心情が調整の邪魔をしてしまうことがあるそうだ。心の優しい人ほどやってしまうミス。非情になりきれない人、いてまんねェ。

編集局長　坂本日出男