編集員通信


“参加馬の確定したる後”

 5月16日東京の緑風Sで、2着入線したシンコウシングラーが、レース後に負担重量不足が発覚して失格処分を受けた。栗田師、並びに柴田善騎手には罰金が科されている。ただ、関係者の方はそれで済んでも、シンコウシングラーから買っているファンは納得するはずもなく、編集局へ多数の意見が寄せられている。“何故返還しないのか”という意見が特に多い。
 大正12年6月29日農商務省令第14号「競馬法施行規則」第15条と第17条を、現代風にして列記しますので、それで解釈して下さい。法は解釈の仕方で随分違ったことになり得るので……。
 第15条 勝馬投票券の発売及び投票は、当該競走に参加すべき馬の確定したる後、これを開始し、馬が競走の出発点を出発する前に締め切るべし。
 第17条 勝馬投票券発売の後、当該競走につき、左(下)の各号の1に該当する事由を生じたる時は、その投票を無効とし、競馬会は券面金額をもって勝馬投票券の買い戻しに応ずべし。発売したる勝馬投票券に表示せられたる馬場に出ざる時は、その馬に対する勝馬投票券についても又同じ。
1.馬場に出でたる馬1頭のみとなりたる事
2.競走成立せざる事
3.競走に勝馬なき事
 発売したる勝馬投票券にして、投票せざるものある時は、競馬会は、その投票せざる部分に対して券面金額をもって、勝馬投票券の買い戻しに応ずべし。

 今回のケースは、返還に関する規定に当てはまらないとの見解だそうだが、果たしてそうだろうか。「確定」とは、広辞苑によると、“定まって変動しないこと”と出ている。馬番、枠番、騎手、斤量が前もって発表されたものと同じ状態でスタートに臨んでいなければならないのではないか。レース中の事故であれば、ファンは誰一人異議を唱えないはずだ。一部変更があっても、事前に告知していればこれも全く問題ないこと。

編集局長 坂本日出男

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