編集員通信


売り上げ増加狙う新手?

 JRAでは、暮れの有馬記念を正真正銘1年の締め括りとなる最終レースへ持って行く案を検討されている。このところの不況の影響をまともに受けて、売り上げの減少が続いており、その打開策として打ち出されたもので、競馬中継を行っているテレビ、ラジオ局等の、放送時間枠の変更における同意が得られるならば、実現するということだが、公共放送のNHKは別にして、民放の場合はJRAが大手スポンサーであるだけに比較的円滑に話し合いはつきそうで、この案の実現する見通しは極めて明るい。

 ファンの競馬離れを何とか食い止めたいと、あの手、この手と尽くすのは施行団体にすると当然なことである。正直なところ、ファンの財布の中身が増えないことには幾ら買いたくても買えない。馬券購入に向けられる先立つ物がない以上、発売時間を少し長くした程度のレース繰り下げで、売り上げが伸びるとは考えられず、“笛吹けど踊らず”に終わる可能性の高い企画のように思う。

 売り上げ増に直接かかわりの深いのは出走馬の顔触れであろう。レベルが高く、しかも力の拮抗したスター馬が複数いるのが理想的。今年で言えば、スペシャルウィーク、エルコンドルパサー、セイウンスカイ、メジロブライト、グラスワンダー、これにアドマイヤベガ等4歳のトップクラスが加われば、よっぽどファンの購買意欲を強く刺激するに違いない。それ等が無事な顔を並べてくれることを願うばかりだ。

(編集局長・坂本日出男)

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