編集員通信


“審議対象レースのビデオ公開”

 パトロールビデオの公開は、審議となったうち、走行妨害のあった場合のみをその対象としていたが、走行妨害の認定を受けなかったレースであっても、どのような状況から審議となったのか知りたい、というファンの要望を受けて、審議された競走のすべてについて、11月6日の開催から審議の対象馬に○印を付し、審議個所の200m程度を2回、競走の施行された競馬場でターフビジョン及び場内TVを通して放映されることになった。
  実際問題として、形があってないものを裁くわけだ。具体的にこういう場合にはこうする、といった万人にも分かる明確な判定基準はない。あく迄も、裁決委員3名の合議によって裁決が下されるわけで、パトロールビデオを公開されてからも、裁決に対する不満が全面的になくなるとは限らない。スタンド上階にある記者席では、一般公開に先駆けて審議の有無にかかわらず、レース確定後には全レースのパトロールビデオを放映しているが、考え方や見方の異なる数多くの記者がいるだけに、どんな場合も1人や2人は判決に異議を唱える者が必ずいる。
  公開することにより、又それなりにファンの反感を買うこともあるだろう。しかし、臭いものに蓋をするような、楽屋内だけでの処理をしてしまわないで、事を公にしたことは公正競馬のイメージを一段と高め、信頼を得ることに繋がるはずだ。正直言って、縦から横からに分けた2画面を見ているにもかかわらず、判然としないケースはよくある。直接にはアクシデントに関係ないが、その原因を作ったと特定される時の見方、受け止め方の相違は微妙だ。そのへんをファンはどう理解してくれるかであろう。ともかく、少しずつでも開かれたJRAへ向かって行っているのは結構なことだ。


編集局長 坂本日出男



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