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人の振り見て我が振り直せ

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◆ 人の振り見て我が振り直せ

 障害限定の短期免許で、昨年12月5日から来日しているニュージーランド出身のウェイン・ヒルス騎手。向こうでは調教師を兼業しているそうだ。3カ月間で通算14回の騎乗、その少ない機会にもかかわらず4勝もした。勝率0.286は驚異的な数字だ。それも、1番人気はたったの一度だけで3〜6番人気がほとんど。勝った時も人気の方は(5)(5)(3)(4)番目だった。

 南半球の競馬にも精通している伊藤雄調教師は「総合的な体力で優れているし、腕の長いことも制御する上でプラス面が多い。そもそも、障害の難度は日本と比較にならないくらい高いオセアニア地域の出身だけに、技術は桁違い上のレベルにある。残念ながら日本人では体型上真似ができないことが多く、あのレベルに到達できる可能性は極めて低いだろう」と、同時にこうも言っている。「障害のことではないのだが、もっと上を目指さねばならない若手が、漫然と日を過ごしているように思えてならない。騎手も一生が勉強だから、たとえ僅かでも進歩していると周囲が認める証を見せてくれないと……。ペリエや武豊の日々の努力、研究は凄いよ。上の人がそれなのにねェ」と嘆く。

 1回阪神3日目は、蓋開けの第1レースからまるで暮れのワールドスーパージョッキーズシリーズさながら、ペリエがいてデムーロがおり、地方からは小牧太に吉田稔、更に負傷癒えて元気に戦列復帰した安藤勝までもが駆けつけている。それへ関東から後藤が一枚加わるのだから関西トップクラスといえどもそうそう思うがままのレースはさせてもらえない。いきなり安藤、吉田の東海コンビの厳しい洗礼を受ける羽目に。地方所属の騎手が活躍したからといって、数年前ほどの違和感はないし、抵抗感も勿論ない。所属とは関係なく、いいプレー、信頼に応えてくれるプレーを見せるジョッキーなら誰もが迎え入れてくれるのが今の風潮。騎乗を依頼する調教師が騎手に求めているものはペリエといわずも、せめてデムーロクラス。高いハードルには違いない。JRAに人がいなければ、自ずと外国人騎手、地方所属騎手へ目が向く。それを引き戻せるのは騎手(JRAの)自身しかいない。


編集局長 坂本日出男


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