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スタネーラが教訓にならず

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◆スタネーラが教訓にならず

 ジャパンCは人気の薄かったイタリア、アメリカ馬に上位を占められた。いつの場合も、外国馬を迎えるレースというのは力の比較が非常に難しい。98年以降は連続して日本馬が勝っているだけに、今年も余計に自国馬の評価を高くしていたかも知れない。そのこと以外にも両馬の低人気の原因となっていたのは調教ではなかったかと考えれられる。510キロ、530キロという大型馬にすれば、あまりにも軽い(日本の常識からみて)追い切り。自国で仕上げて持ってきているとはいうものの、記者から見ればいかにも物足りないタイムであったわけだから。日頃見慣れた馬であればその調整状態である程度の仕上がりぶりを推測できる。ところが普段を知らないと、ビッシリ追い切らないのはどこか心配なところを抱えているのではないかと悪い方へ解釈してしまいがちだ。調教公開をはじめとする公正競馬を標榜するJRAの施策に頼り過ぎていたわけでもないが……。

 勝馬検討の要素として実績に次いで重きを置いているのが調教。特に直前の追い切り状態がある。永年、毎週同じ手順を繰り返して勝馬検討してきていると、一定の枠からは簡単にはみ出せない。ファルブラヴの中山ダ62.7−46.2−15.9の馬ナリを知った途端、反射的に“用無し”と断を下すだろう。無印にした記者の根拠は総じてそうであったと思う。一旦思い込んでしまうとおいそれと修正が利かない。パドックで最終状態を確かめたそれら記者の多くは“勝たれるかも知れない”と不吉な予感が胸中をよぎったに違いない。歴史は繰り返される。思い起こされるのが第3回に勝った510キロの牝馬スタネーラのこと。来日以来速いタイムの追い切りはなくアイルランドの時間に合わせた真夜中の引き運動だけで調整されていたことを。杓子定規にモノを考えてはいけないと肝に銘じていると口ではいうものの、現実に向かい合うとついつい……。この手の失敗はおそらく今後も断ち切れないだろう。


編集局長 坂本日出男


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