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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
ノリに注目






 

◆“ノリに注目”

 間もなく秋のG1シリーズがスタートする。春にもこの欄で取り上げたが、上半期のG1レースは関西馬の全勝で終わった。3歳戦線でネオユニヴァース、スティルインラブが二冠を達成すれば、古馬もヒシミラクルが二つのタイトルを独占。短距離、ダート、障害の各部門でも関西馬が勝利を収めており、関西馬の圧倒的な強さの前に、関東馬は沈黙したままである。

 そんな時代背景もあるのだろうが、美浦所属の騎手たちの存在が目立たない。例によって柴田善臣、蛯名正義、横山典弘といった面々がリーディングジョッキー部門で上位争いを演じているが、それぞれの連対率は2割6分前後。勝ち星でトップを走る柴田善臣の勝率も1割3分程度にすぎない。一方の関西では、武豊騎手が4割近い連対率を残しており、勝率も2割4分を超える勢い。これに続く安藤勝己も連対率が3割を超えており、勝率も1割5分前後の数字を残している。トップジョッキーと呼ばれる以上、突出した存在である武豊の域にとまでは言わないが、安藤勝己レベルの数字を残してファンにアピールして欲しいものである。

 柴田善臣のあたりの柔らかさはさすがだし、攻めの競馬をしたときの蛯名正義の迫力も捨て難い。しかし、どちらの騎乗ぶりからも、見守る側をうならせるような個性が伝わってこないのだ。個人的な好みで言うなら、ノリ(横山典弘)の奔放な騎乗スタイルに魅力を感じる。1997年に落馬事故(ドバイでホクトベガ号に騎乗中の出来事)に巻き込まれて大怪我をして以来、しばらくは本来の輝きを失っていたノリだが、ここ数年は確実に“らしさ”が戻ってきつつある。騎手としての器の大きさは際立っている彼。早く完全復活して、沈滞する関東圏に活力を与えて欲しいものである。

 さて、今週は神戸新聞杯。ダービーで上位入線を果たした3頭が、無事に夏を乗り切って出走してくる。加えて、札幌記念で古馬を一蹴したサクラプレジデントも参戦を表明。近年にない白熱した見応えのあるレースが期待できそうだ。中心になるのは二冠馬ネオユニヴァース。デムーロの代打として騎乗する福永祐一がどんな手綱捌きを見せるか楽しみだが、リンカーンに騎乗予定のノリにも、馬券を離れてちょっぴり注目している。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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