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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
東京出張






 

◆“東京出張”

  突然、東京出張の話が舞い込んできた。日付けは5月29日。迅速かつ正確に仕事を処理できれば翌日には府中でダービーが見られそうだが、その内容はそれなりにハード。無事に対応できる自信はなかったが、そこは例によって気楽でお調子もんの私。当日は流れに身を任せて東京へと旅立った。都内を東奔西走して夕方までになんとか任務を完了。少しでも時間が空くと一人でジッとしていられない性分でもあり、悪友たちに声をかけて新宿歌舞伎町で飲食。日付けが変わるまで痛飲して泥酔。例によってある時期から記憶が途切れた。

 翌日は早目に残務整理を済ませて東京競馬場へ。真夏並みの蒸し暑さのなかでのダービー観戦となった。例によって馬場入りした各馬の雰囲気を確認した上で馬連3点勝負。軸馬が心を乱したような意外な走りで完敗したため、馬券は絵に描いたようなタテ目で紙屑となった。地方競馬が次々と崩壊していくこんな時代だからこそ、流れを変える意味でコスモバルクにダービーを勝って欲しい。そんな感情移入が強過ぎたかなと反省したが、それよりも勝ったキングカメハメハの強さを素直に認めるべきだろう。

 帰りは京王線のラッシュを避けてJR府中本町から中央線へのコースを選択。西国分寺で乗り換えるまでは良かったが、駅のホームで革靴の踵がちぎれるハプニングが発生。放心状態のまま飛び乗った東京行きの電車は、中央線ではなくてなんと武蔵野線。路線図で確かめたところ、東京には辿り着けるものの、所沢(埼玉)〜松戸(千葉)〜船橋法典(中山競馬場)を経由するアンビリーバボーな超遠回り路線。ふた駅過ぎて慌てて電車を飛び降り、もとの西国分寺経由で無事東京駅に到着したが、構内で今度は反対の靴の踵まではがれ落ちてしまった。若い女性のハイヒールなら救いのナイトが出現したりするのだろうが、ヨタヨタ歩きの中年オヤジに振り返る人間がいるわけもない。新幹線に乗り込んだときには疲労困憊。缶ビールをふた口飲むともう寝込んでいた。

 「まだダービーを勝ったという実感はありません。外からこられて早目に動く形になったけど、あんなケースも考えてはいましたからね。ガッツポーズですか? なんとなくやっちゃったんですが、確かに中途半端だったかもしれませんね、アハハハハ」

 翌月曜日に電話を入れたら、例によって飄々としたアンカツ節が返ってきた。今度会ったら「拳を突き上げたのか肩が凝ったのか、どっちか判らんようなガッツポーズはダメ。やるんなら格好よく決めようぜ、格好よく」と新たなガッツポーズを提案するつもりだが、電車に乗り間違ったり靴の踵がぶっ壊れてヨタヨタしたり。こんな格好悪いオヤジのアドバイスなんて、とても相手に受け入れられそうにない


競馬ブック編集局員 村上和巳


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