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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
2004年度・全ジョッキー完全データ






 

◆“2004年度・全ジョッキー完全データ”

  1月15日(1回京都5日目)の競馬もなんとか無事に終了。現在は家に帰ってパソコンに向かい、いつものこの原稿を書いている。キーボードの横には週報(1月17日発売号)のゲラが何枚か重ねて置いてある。その中身は『年度代表馬&部門別代表馬特集』『平安ステークス厩舎レポ』『2004年度・全ジョッキー完全データ』といった特集記事を集めたものだが、『2004年度・全ジョッキー完全データ』については注目すべき“新春大サービス企画”でもあるので、ここで改めて紹介しておこうと思う。

  昨年から掲載(常時ではないが)するようになった新企画の『リーディングジョッキー東西トップ20』が好評だ。個々の騎手の特徴や傾向といったものが、このデータ活用によってかなり克明に割り出せるのだから見ていて楽しい。昨年6月中旬のこの欄で「僕のデータで単勝平均配当1823円とか回収率167%ってどういうことですか」と秋山真一郎騎手に質問されたと書いたが、いまや金、土の調整ルームでは各騎手がこのデータを読み耽っているとか。また、週報の読者の方からも「東西トップ20を毎週掲載して」といったメールや電話が数多く寄せられている。紙面に限りがあって常時掲載は不可能だが、なるべく要望に答えられるようにと努力はしている。

  前置きが長くなったが、1月17日発売の週刊競馬ブックでは東西の上位20名ではなく、全騎手の昨年1年間のパーフェクトデータを掲載することにした。それもJRA所属の騎手だけでなく、外国人騎手、地方所属騎手(地方所属騎手は紙面の都合でJRAでの年間成績上位30名限定)も含まれている。保存版にもできるすぐれモノで、ゲラだけで私自身も完全に嵌ってしまっている。

  その『全ジョッキー完全データ』に目を通してみると、昨年1年間で単勝回収率が最も高かったのは関東の古川寛和騎手の536.67%。つまり、同騎手が騎乗した9レースの単勝をすべて100円ずつ買い続けると、900円を投資しただけで、なんと4830円にもなるのである。ただ、この例は結果から導いたものであって、古川寛和騎手の騎乗回数が極めて少なく、なおかつ人気薄の馬で勝ったからこそ成立したプラス計上。野球でいえば規定打数に達していない打者の打率が首位打者を上回ったという類いの話。そこで、一定の基準を設けてもう一度データを調べてみた。年間20勝以上を挙げていて、なおかつ回収率100%を超えるJRAの騎手がいたのかどうかチェックしてみたところ、次のような結果が出た。

  1位 松岡正海  130.96% 2位 秋山真一郎  110.50%
  3位 和田竜二  110.39% 4位 田中勝春   105.55%

  年間20勝以上の勝ち星を挙げた騎手のなかで上記4人(JRA以外では岩田康誠騎手の133.23%という数字もある)が年間単勝回収率100%を超えていた。つまり、彼らの単勝を買い続ければ、なんと年間プラスを計上できたのである。読者の方にわかりやすいようにと考えてまず単勝回収率を取り上げたが、他にも各騎手のコース別、距離別の連対率があったり、それぞれの騎手が馬連、馬単、3連複でどれだけ万馬券を出したか、また、単勝人気別成績や依頼厩舎別の成績ベスト5といった細やかなデータがふんだんに掲載されている。この完全データをうまく活用すれば馬券必勝法の発見も可能―なんて密かに考えてしまう懲りない私だが、それはともかく、データ派の競馬ファンには必見の特集でもある。

  最後に、今年の私が個人的に注目しているのは松岡正海騎手。美浦所属の若手ということもあって会ったこともなければ顔さえも知らないが、上記の通り単勝回収率トップは見事というしかない。それに加えて、関東ブロックの年間制裁王(昨年1年間の制裁点数が関東ナンバーワン)でもあるのだ。“やんちゃで無鉄砲だが馬券を買う側にとっては限りなく頼りになる”―そんなイメージを勝手に彼に抱いている。型に嵌らず奔放に生きる人間が好きだという私自身の個人的な好みもあるのかもしれないが、今年の松岡騎手には趣味の制裁点収集はほどほどにしつつ、昨年以上に大暴れして欲しいものだ。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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