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競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
想定
“想定”
今年の流行語大賞の候補に“想定内”という言葉がノミネートされそうだが、この“想定内”“想定外”は競馬専門紙業界では日常的に使われている言葉である。予想をメインにしている競馬専門紙にとって、1週間は想定を作ることからすべてがスタートする。ここでいうところの想定とは、それぞれのレースに出走する予定を組んでいる馬を取材して、水曜日昼までの段階で土日の2日間、全24レースの全出走予定馬をデータ化すること。それをまとめたものが想定表と呼ばれる。
1R サラ3歳未勝利 ダート1200メートル
1 アドマイヤイチ 54K 岩 田
2未アルトシチー 56K ○ ○
3 ウォーターブリュー 56K 武 幸
4 エイシンデピュティ 56K 野 元
5 カルストンシックル 53K ▲ 生 野
6 ブライダルパール 54K 飯 田
7 サンアディユ 54K 渡 辺
8 セルリアンイーソス 56K 幸
9 セントレアスタート 56K 池 添
10 タイキカムイ 56K 安藤勝
11 フラワーレインボー 54K 藤 田
取材班が水曜朝にそれぞれの担当厩舎の出走予定を取材。会社に戻ってそれを集計する。東西交流の盛んないまの時代は栗東と美浦で並行して同じ作業をしないと正確なデータを作成できない。それだけに東西の連携は必須条件でもある。上記の出馬表のようなものは想定表の一部。“未”とあるのは出否が未定だったり、1レースか3レースのどちらに出走するか迷っているケース。また、騎手欄の○○はまだ乗り手が決まっていないことを表している。B4判一枚に土曜日の全12レースをまとめ、翌日の日曜日は別のB4判に全12レースを同様にまとめる。水曜日の昼に出来上がったこの想定表はファックスで各調教師に送られる。その場合でも、関西でしか管理馬を使わない厩舎は関西分だけで済むが、関東へ遠征する馬がいる場合は関東圏の想定表も必要となる。そして3場開催が行われているときには、関西、関東、他場の想定表全6枚が必要となってくる厩舎もある。
この想定表は水曜日の昼に完成するが、一度作ればそれですべてが終わりではない。朝の調教時に出走予定を組んでいた馬が体調を崩したり、関係者の都合で予定を変更したり、いい騎手がいないので1週延ばすなんてことも日常茶飯事。それ以外にも、相手関係を考えて予定レースを変更したり、騎手のダブルブッキングがあったりとそれはもう大変。木曜日に改めて想定表の変更版を作成するのだが、水曜午後に厩舎回りをする想定班は七転八倒しつつ八面六臂の大活躍を続けるのである。昔はJRAから届く出馬発表時に“想定外”と呼ばれる予定になかった馬の名前が頻繁に登場していたものだが、競馬サークルそのものがマスコミに協力的になったことや専門紙がキメの細かい取材体制を整えられるようになったこともあって、最近の想定表は実に精度の高いものになっている。
想定表に対する需要は調教師、騎手、厩舎関係者はもちろんのこと、オーナーサイド、放送関係etcと数に限りがない。弊社ではJRAにも資料としてこの想定表を提供している。各レースの出走状況を調べたり、レースを入れ替える(出走頭数の多少によってレースの順番を変更する)場合の参考資料として使われているのである。人間のやることだからごく稀に馬名の入力忘れがあったりして、それがG1の断然人気馬だったために“○○○が突然の出走回避”と大騒ぎになり、いろんなところから問い合わせが集中したこともあったが、笑えない話ではある。
最後に自慢話をひとつ。この“想定表”を最初に考案したのはなにを隠そうこの私なのである。いまから二十数年前の出張先の札幌で「それぞれの取材班が集めた予定馬をひとつにまとめればJRAの出馬表と同じものが作れる」―そう思いついた私は取材班全員の予定馬を集めて手書きで想定表を作成。本紙担当者や一部の関係者の圧倒的な支持を集めた。当時とすれば画期的な発想だったと自負している。しかし、その発想は出張先で極貧状態だったため、暇つぶしのための苦肉の策として生まれたもの。数週後に珍しく穴馬券を的中させて持ち慣れない金銭を得た私は昼夜を問わずに札幌の街を浮かれて飛び回り、想定表作成を忘れた(笑)。周囲は落胆したが、他に代行するスタッフや協力する人間がいなかったのも事実で、そもそも一人で想定表を作ること自体に無理があったのだ。そんな経緯もあって想定表の重要性が公的に認知されるまでにはそれから数年を要したが、いまや各スタッフがコンピューターの端末に担当厩舎の予定馬を入力すれば瞬時に集計されて想定表が完成する。いい時代になったものである。
競馬ブック編集局員 村上和巳
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1951年北海道生まれ。怪しげなROCK喫茶の店主兼使用人だった当時に競馬に熱中。気がつけば1977年に競馬ブック入社。趣味の競馬が職業に。以降24年間、取材記者としてトレセン、競馬場を走り回る。2002年に突然、内勤に転属。ブック当日版、週刊誌の編集に追われている。2003年1月からこの編集員通信の担当となったが、幾つになっても馬券でやられると原稿が進まない自分が情けない。
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