『中京の芝で儲けよう!(夏ヴァージョン)』
先週は1年ぶりに中京競馬場へ。内勤日の多い業務体系なので現場感に乏しいが、出向く回数が少ない分、新鮮な気持ちを保てる利点があり、1泊2日で臨む出張競馬観戦は体力気力ともに楽でなくても、スペシャルなものとして記憶に残る。初日の昼食の味噌煮込みうどんに始まり、味噌カツ、どて煮、天むすと昔懐かしの味(愛知県出身です)を堪能しつつ、ふと中京の芝コースってこんなに面白かったっけ?と今回の遠征で今更ながらに思った。
コース形態が特殊なので他場とはレースの性質がまったく違い、単調でないのがいい。直線は西日本最長の412m。残り340mから100mで2m上がる勾配は中山に次いで急で、坂を上り切ったあとの240mもほぼ平坦とはいえ緩やかな上り。(※中山は残り180m〜70m地点で2.2m上る急勾配だが、上ってしまえばゴールまで70m) ゴールから逆算して1100m地点から3〜4角を過ぎ、直線340m地点までずっと下りが続くのでその勢いで急坂は上れちゃうけど、あとがしんどいよって感じで、残り1F余りはタフな踏ん張り合いとなる。今開催は芝が荒れているし、競走馬に大敵な暑さと湿度が厳しい季節でもあるため、一段と渋太さ比べ、我慢比べの様相を増していて、決め手に欠けるとかジリだとかのレッテルを貼られている馬たちにも等しくチャンスが訪れるのだ。残り1Fからの攻防に魅せられた。過酷な状況のなか先頭でゴールするのはどんな馬なのか、今開催4日目までの芝のレースを振り返り、狙いと消しのパターンを考えてみた。
(1)非力だとキツい ・素質の違いで何とかなる2歳戦を除く芝20鞍の勝ち馬のうち、馬体重が450K以下だったのは4頭のみ。そのうち3頭が牝馬で、牡馬ではディープインパクト産駒の1頭だった。決して、体重が軽い=非力ではないが、参考ファクターとしては使える。体重に関係なく見た目にパワーがないと判断できれば、それで消し材料。ただし、小さくても芯が通っていて暑い時季に強いステイゴールド産駒は侮るなかれ。
(2)Bコースでも差しと推測 ・先週の芝13鞍の成績欄を見直し、馬場のヒントになる騎手のコメントを拾ってみると、「もっと綺麗な馬場なら」「内目の馬場が悪い」「外目を通ったがそれでも3〜4角では脚を取られた」「3〜4角は荒れた馬場でノメッていた」「荒れた馬場に脚を取られて向正面から進んでいかない」と続く続く。今週からA→Bコース(内から3mに仮柵)となるが、では昨年はどうだったかと競馬ブックWEBで公開された当日の馬場情報をたどると、「荒れた部分を完全にカバーできていない」「時計は速からず遅からず。ペース次第だが、外差しが結構決まっている」とある。先週日曜の傾向は馬場の中ほどから外目がヴィクトリーロード。パトロールビデオで見ても内の状態は悪く、今年も仮柵設置でカバーし切れるとは考えづらい。土曜の序盤のうちはともかく、基本的に傾向は変わらないのではないか。先週は逃げた馬の連対は日曜9R美濃特別の勝ち馬だけ。このレースは古馬500万の芝2000mで前半3F38秒2、1000m通過1分4秒0という超のつくスローペースだった。少頭数の小粒の中距離戦で、ペースが遅いけどどれも差してこれないというメンバー構成でもない限り、差し中心の見立てでいきたい。
(3)単の穴なら2000m、2200m ・新馬戦を除いた芝23鞍のうち21鞍で1〜4番人気が勝っているので無理な穴狙いは避けた方がいい。瞬発力とパワーを兼備しているタイプが人気なら逆らわない方がいいだろう。単で妙味があるのは7番人気、6番人気から勝ち馬が出た2000、2200m。中距離は前半で上って、残り1100mから下りが続いて、急坂+1F強のコース設定とあり1600m以下よりもタフ。京都や阪神で切れ負けするタイプが、それ見たことかと消耗戦で浮上できる。種牡馬別ではディープインパクト(2.1.0.9)、チチカステナンゴ(1.1.0.0)、ファンタスティックライト(1.1.0.0)、デュランダル(1.1.0.2)の成績がいい。そもそものポテンシャルが高いディープ産駒はともかく、それ以外はどこでも走るわけではないので覚えておきたい。
(4)中京適性と暑さへの耐性 ・特殊なコース形態なので、中京に実績があれば素直に加点すべき。その実績が夏のこの時季の開催でのものであれば、暑さへの適応力も兼ね備えていると考えられる。この開催の開幕週でいえば、CBC賞のマジンプロスパー、清洲特別のゴールドベルがまさにそのパターンだった。適性があれば陣営もここ目標にビッシリと仕上げてくるだろう。リピーターに要注意だ。種牡馬別では、ここまでの2週で1着回数がディープインパクト5、ステイゴールド、ハーツクライ2。1+2着回数がディープインパクト8、ステイゴールド、フジキセキ、シンボリクリスエス、ダイワメジャー3となっている。
追究すればまだまだありそうですが、とりあえずこのくらいで。やっぱり生で観戦すると感じることが多いですね。来年は有給休暇を取って仕事抜きで行こうかな。競馬場の売り場のどて煮と生ビールが魅力的だったなー。
栗東編集局 山田理子