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オセアニアの障害騎手に学ぶこと

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◆オセアニアの障害騎手に学ぶこと

 リサ・クロップを皮切りに、オセアニアから複数のジョッキーが短期免許を取得して来日している。そのほとんどの後見役を勤めているのが崎山調教師。世話になったジョッキーが帰国し、その温かい持てなしぶりがくちコミで伝播した結果が、引きも切らず次々と身許引受けを依頼されることになったのだろう。数が多いと、中には礼儀をわきまえぬ輩もいるようで、崎山師を怒り、嘆かせた例もあったよう。しかし、国際親善、技術交流という観点に立てば、その種の些事にこだわっていられない。

 障害専門の騎手W・ヒルスに次いで来日したE・ラムが先日帰国した。両者は共に15戦しており、勝率2割を超えるハイアベレージを残し、数字の上においてもよく分かる卓抜した技術の持ち主であることを裏づけている。障害競走に関しては日本は後進国。そこへオーストラリアのトップクラスの両者が参入して、一緒のレースを体験できたことは、障害騎手の頂点を極めようと目指す若手にとっては大きな意義があったろう。障害だけの国際競走に騎手招待を受けて参戦、ツアーを転戦したジョッキーがいないわけではないが、修業のために長期滞在したという話は聞かない。平地戦を見限り、障害専門をと決意するのなら、海外で腰を据えて腕を磨こうという者が現れても良さそうなのだが、一般の観光客の物見遊山と違い、それぞれ諸事情が絡んで第三者の考えているようには簡単に出て行けないのが実情。

 馬の飛越の技巧よりも、平地の速力が優先する現在の日本の障害競走では、騎手に特別なテクニックは不要なのかも知れぬ。ならば、わざわざ海外修行に出掛けなくても……。という風潮が生まれてきているのなら残念なことだ。


編集局長 坂本日出男


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