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低迷脱出への道案内役出現

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◆低迷脱出への道案内役出現

 大相撲秋場所は大詰めに差しかかった。話題を一人占めにしていたのが1年4カ月ぶりに怪我から復帰してきた貴乃花の動向。引退を賭けての出場だけに、一番一番にファンは一喜一憂している。そのため、横綱昇進問題のかかっていた千代大海、新大関朝青龍の働きなど普段なら大いに注目されるべきことが、すっかり隅っこの方へ押しやられてしまっている。興行の世界においては、貴乃花のようなスーパースターの存在は絶対必要不可欠なのだ。ジャイアンツの松井も又しかり。セントラルリーグだけに止まらない。野球ファンのみならず、全国民の耳目をひとつにして球界へ向けさせる役割を果たしているように思う。

 新馬券発売の効果もあって、長い低迷沈滞からの脱出に曙光の見えたJRAが、追い風に乗るためにもスターホースの誕生が渇望されている折り、とてつもないスケールの牝馬が登場してきた。父デインヒル、母ココット。異父兄は同じダンチヒ系ポリッシュプレジデントの仔ピルサドスキーという世界的な良血で、その名ファインモーション。97年のジャパンカップでクビの差交わされ優勝を逃がしたエアグルーヴの伊藤雄厩舎の管理下へ入ったのも何かの縁だ。デビューは2歳の暮れだったが、成長を妨げないために無理を避け、8カ月待機したのち函館からカムバックしてきた。見せムチだけで5馬身も引きち切る瞬発力の凄さは人々を驚かせた。道中掛かりっ放しの状態で運んだにもかかわらず圧勝した阿寒湖特別も次元の違う印象。オープンへの初挑戦だったローズステークスを馬なりで浚って行くに至っては、ある程度予測されていたことといえあまりの強さに呆気に取られて言葉が出ない有様。次の目標は秋華賞ということだが、天皇賞、更にはジャパンカップに向かい、世界の最高クラスを迎え撃って究極の強さを示して欲しい。

 シングスピールとハナ差の接戦を演じたファビラスラフインを始め、マジックナイト、オールアロングの果たし得なかった3歳牝馬による初のジャパンカップ制覇が見られればいうことなし。けど無理な注文かなァ……。


編集局長 坂本日出男


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