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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
新世代の台頭






 

◆新世代の台頭

 ここ数年は衛星放送で米国メジャーリーグの試合ばかり見てきたが、今年は日本のプロ野球も見るようになった。関西に住む人間なら、阪神タイガースの躍進が楽しいのは当然だが、それ以上に引きつけられるのが、いわゆる『松坂世代』と呼ばれる1980年生まれの若者たちの活躍である。
 なかでもダイエーは新垣、和田、杉内というこの世代の3人が先発ローテーションに入って大活躍中だ。腕の振りを微妙に変えてタイミングを外す知性派和田も切れ味のあるマイラーといった雰囲気でいいが、いかにも本格派といった感じの新垣は、チャンピオンディスタンスで国際G1を狙える素材と注目している。『松坂世代じゃなくて、新垣世代と呼ばれたい』と負けん気の強い発言をしているのもいい。

 野茂が、佐々木が、そしてイチローや松井がメジャーへ移籍して凋落ムードにあったプロ野球。今年もテレビ視聴率が落ちて観客動員数も減少しつつあるようだが、このダイエートリオのようなイキのいい若手が台頭してくると、それまで野球(日本国内)離れしていた私のような人間が、衛星放送だけでなく、地上波の野球中継に戻ってくるものなのだ。

 競馬の社会にも同様のことが言える。武豊がデビューから2年目でジョッキー界の頂点に立って久しい。彼が築き上げた実績とその技術の素晴らしさは十分に評価している。普段からスポーツ新聞の記者に「できれば競馬を一面に扱って」とアピールを続け、交流競走があれば北海道から九州まで。労をいとわず、賞金の安さも気にせずに駆け回る彼。その姿勢には頭が下がる。ただ、いつまでも武豊に頼り過ぎるのもどうか。
 天性のあたりの柔らかさと完璧なペース判断。それが武豊の魅力だ。掛かっても掛かったと見せず、ミスをミスと気づかせない騎乗。そんな天才にも、最近は微妙な変化が見られる。ガツンと掛かったり、馬込みでモタつく彼らしくない場面を目撃すると、体(筋肉や関節)が硬くなってきたのかと、あれこれ考える。そんなときに限って、次のレースでは超人的な姿に戻って素晴らしいプレーを見せるのだが、そんな武豊にも、いずれ衰えるときはくる。

 騎手の世界にも『松坂世代』のようなイキのいい若者が出現しないかと思う。武豊がやすやすとトップの座を明け渡すとは考えられないが、彼を脅かすような新星の出現は、沈滞する競馬サークルに活力を与えるだけでなく、見守る側の我々にも夢を与えてくれるのだから。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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