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編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
体験入社






 

◆“体験入社”

 4週間にわたる『体験入社』期間が終了した。以前にもこの欄で紹介したが、ケイバブックでは来春に卒業予定の学生を対象に、編集、取材記者を募集している。体験入社とは、春に入社一次試験をクリアした学生たちが1週間単位で栗東本社に詰め、競馬記者を体験するシステム。学生側からすれば、競馬記者としての特殊な日常を体験することで職種に対する知識を身につけ、その上で入社を希望するか否かの最終判断ができる。会社側にしても、ペーパーテストや型通りの面接だけでは掴み切れない個人の本質や適性をある程度は見極められるというメリットがある。

 火曜夜に栗東へやってきた学生たちは、水、木、金と午前4時前に起床。トレセンへ足を運んで調教見学。それが終わると会社へ戻って原稿作成、データ整理といった基礎作業の手ほどきを受ける。普段は深夜まで起きているという彼らにとっては、昼夜が逆転した生活リズム。想像以上の苦痛を伴ったろうに、それぞれが、競馬漬けの生活に耐えていた。土日はグリーンチャンネルを前に、朝の1レースから最終12レースまで、全3場の36レースのテレビ観戦。途中からは週報用原稿の処理と校正作業も加わった。勿論、レースの最中には、私を筆頭とした編集局員の「よっしゃ、追え、追え、しっかり追え」「アカン、差し返せ、なにしてんねん」といった怒声が渦巻く。そんな常識破りの我が部署。免疫のない彼らがよく耐えたと思うが、そこは並ではないレベルの競馬ファンたち。ゴール前で我々と一体化して「○○○こい!」と叫ぶ猛者もいた。

 私の馬券作戦は、レースが下手だったり、気持ちが弱くて実戦で持てる力をフルに発揮できない馬に注目するもの。そんな馬たちがキッカケを掴んで変身する瞬間を見極めて(見極めたつもりで)狙うのだが、そういえば、長く付き合っている私の友人や知人には、不器用な人間が多い。生きるのが下手だったり、世渡りが下手だったり。でも、そんな彼らだからこそ、ひたむきに生きている姿を見るとついつい応援したくなるのだ。

 今回の体験入社で私の前に現れた学生たちも、不器用だったり自己表現がうまくなかったり。そんな人種が多かった。そんな彼らと縁ができるかどうかはまだ判らないが、起伏の多い今後の人生を乗り切るとしたら、やはり競馬との友好関係を構築するのがいちばん。酒を飲みつつの競馬談義なら声をかけてきな。喋りだしたら止まらんオヤジでよかったら、いつでも付き合うぞ。


競馬ブック編集局員 村上和巳


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