コーナーTOP
CONTENTS
PHOTOパドック
ニュースぷらざ

1週間分の競馬ニュースをピックアップ

編集員通信
競馬ブック編集員が気になる事柄にコメント
厳寒期のトレセン






 

◆“厳寒期のトレセン”

  「携帯で編集員通信、読んでます。先日は将来性ありということで、新馬勝ちした2頭の名前を挙げてましたね。ブラックタイドとダンスインザムードですか……。どちらもSS産駒で超良血。あんなん普通の競馬ファンでも判ることでしょう?もうちょっと渋い馬、書いて欲しかったなぁ。忙しいでしょうけど、新年ぐらいにはトレセンに顔を出してくださいよ」

 年末にこんなメールが届いた。読み終えて思わず赤面しそうになった私。まったくの正論であり、反論の余地がない内容なのである。送り主は飯田祐史クン。以前にも書いたと思うが、個人的に交流のあるジョッキーの一人だ。すぐに返信メールを送ってはみたものの、その内容は釈明にすらなっていない、みっともないもの。我ながら恥ずかしくなってしまった。

 そんな経緯もあって、1月21日の朝に久々のトレセン行きを敢行した。新年の挨拶を兼ねるなら2日か3日に顔を出すべきなのだが、根がズボラな性格。忙しいだの寒いだのとボヤいているうちにこの日になっていた。厳寒期のトレセンは気温がマイナス1度。吐く息は白く、肌を露出している部分に軽い痛みが生じてくる。馬たちが寒さから身を守るために冬毛で厚着をしている気持ちがよく判る。馴染みの厩務員さんの馬房をのぞくとツンと鼻をつく独特のアンモニアの臭いが懐かしい。

 「しばらく姿を見んかったから、死んだ思うとったわ。ちょっと太ったんちゃうか。苦労はせんでも、それなりに髪も白なるんやな」と古川平厩舎のベテラン厩務員の山本昭二さん。口は悪いが楽しい人物だ。元気に愛馬の乗り運動をしている姿がいい。

 「朝の調教に顔を出すなんて珍しいじゃないですか。真面目に馬を見にきたふうでもないし、どうせ遊びか冷やかしなんでしょ」は騎手から調教助手に転身した梅田康雄厩舎の岸滋彦クン。歯に衣着せぬコメントが相変わらず鋭い。思わず「シゲの顔見にきたんやんか」とアドリブで受けても、「口の方だけは変わらずに快調みたいですね」とくる。う〜ん、相変わらず手強いヤツ。

 そんな調子で3時間。ふと気づいたら大半の調教が終了していた。ろくに追い切りも見ずにあちこちでひたすら無駄話ばかりしていた情けない私。こんな姿を飯田クンに見られるとまた呆れられそうなので、やむなく区切りをつけてトレセンから退散した。今度行くときは注目馬を数頭チェックして、中身の濃い取材をしようと決心したが、馴染みの人物にひと声かけられると嬉しがってすぐに脱線してしまうのが私の性格。この意志の弱さを克服するには帽子でもかぶって変装し、口に特大マスクでもするしかなさそうだ。


競馬ブック編集局員 村上和巳


copyright (C)NEC Interchannel,Ltd./ケイバブック1997-2003