・ケイアイガード ・オースミコスモ ・ニシノシタン ・ダイワメジャー ・ウインラディウス ・サイドワインダー ・コスモサンビーム
編集部の自分の机に戻ると他のスタッフも勢ぞろい。それぞれが分担された仕事に集中している。同時進行で小倉、函館、新潟の各現場から直前変り身診断や朝駆けナマナマ情報といった原稿がパソコン通信やファックスで次々に送信されてくる。出稿されてきたものを順次確認、処理して印字部に送る。そんなことを繰り返しているうちに「函館10レースが予想変更。結論、書き直しや」「小倉で出走取り消し。印が変わるから誰かポイントの追加原稿5行書いてくれ!」「ファックスがエラー。新潟に再送信の連絡頼む。時間ないから大至急」といった会話が飛び交い、10時までの2時間があっという間に過ぎていく。そして、背後のグリーンチャンネルではすでに1レースがはじまっている。
無事に出馬が終わると次に取りかかるのは『推理のキー』の原稿作成。携帯サイト・競馬ブックオンラインのなかにこのコーナーがあって、そこで後半4レース(土日ともに)の予想をしている私。現場取材記者から内勤のデスクに替わって3年半。新聞紙面上で予想することはなくなったが、このコーナーのために能力表を眺めたり調教時計をチェックしたりするのは相変わらず。とはいっても現場で馬を見ているわけでもなければ関係者に取材しているわけでもない。だから、この『推理のキー』はあくまで机上の予想。基本的には穴思考で人気の盲点になりそうな馬を軸に選ぶパターンが多い。上半期の回収率が95パーセントを越えていたので「よ〜し、今年こそ(去年が散々の成績)回収率100パーセント突破だ」と宣言した途端に的中率が急降下。いくつになっても口先だけのオヤジなのは変わらない。まあ、人間の本質なんてそう変わるものではないが。
そうこうしているうちに各競馬場の午前中のレースが終了。慌しく昼食を済ませて編集部に戻るともう午後のレースがはじまっていて、そこからはグリーンチャンネルを放映しているテレビと自分の机のパソコンとの往復。続々と送られてくる週報用原稿をパソコンで確認して処理。同時進行で来週の特集ページのチェック、ファンからの電話、メールの応対もこなす。なおかつ自分の馬券も購入するのだから、まあ多忙だが、これも競馬が好きならばこそ。とはいっても、思うように当たらないのが馬券というもの。時間がないのを承知で飛び込んだ小倉2日目北九州記念では大失態を演じた。1―12―5の3連単を数百円的中させてガッツポーズを決めかけたが、ふと気になって調べてみるとパソコンで申し込んだのは普段のメインにあたる11レース。はくぼで10レースになっているのをすっかり忘れていたのだ。懐に入るべき臨時収入が瞬時に消えて編集部で二番目におしゃべりの私はすっかり無口になった。皆さん、馬券の買い間違いには注意しましょう。
土曜日の最終レースが終了。馬の故障や騎手の怪我もなく無事に一日が終了したことでまずはひと安心。馬券で大きな痛手を受けなかったことにも満足して退社。家に帰るとまずはシャワーを浴びてキンキンに冷えたビールを一杯。これがまた格別だ。テレビのスイッチを入れるとプロ野球オールスター2戦目の映像が飛び込んでくる。そのままビールを飲みつつ画面にかぶりつきたくなるが、そこで思い出すのがこの『編集員通信』の原稿作成。ネタもないままに頭はもう飽和状態。こうなったらいまはやりのブログ風に今日一日の様子を書き殴って逃げ切るしか道はない。そういう経緯でこの原稿ができ上がった。テーマもなければオチもなく、メリハリもなければクライマックスもないが、まあ暑い夏にはこんな日もあるということで……。 競馬ブック編集局員 村上和巳 ◆競馬道Onlineからのお知らせ◆ このコラムが本になりました。 「トレセン発 馬も泣くほど、イイ話」⇒東邦出版HP